• 松浦愛・小林くみん

すべての人にオーガニックの暮らしを。私たちはそのお手伝いをしたい

今回は、“すべての人にオーガニックの暮らしを”をコンセプトに掲げ、オンラインでビジネスを展開している松浦愛さんにお話をお伺いしました。学生時代はオーガニックとは真逆の生活をしていたという松浦さん、「ほぼ毎日、甘いものを食べていました」と当時を振り返ります。しかし、新卒として働き始め、日々の忙しさとストレスと食生活の乱れから、自身の生き方と健康を見つめ直すようになったと言います。
「食生活を直すためには、心に余裕を持つことが大事」と語る松浦さんが、オーガニックにこめる想いとは――。日本のオーガニック市場の現状から、今後、そのマーケットにどのような仕掛けをしていくかの展望まで、多岐に渡ってお聞きしました。
松浦さんと一緒に働いていらっしゃるメンバーの小林くみんさんにもお話を伺うことができました。小林さんのお仕事内容、意外な経歴(これがすごいんです)もお楽しみください。
インタビュー実施日:2018年5月17日(らしくインタビュアー渡辺)

目次

■自分で実際に試してみて、「これはいい」と納得した商品や情報を発信する

――今、松浦さんがお仕事としてなさっている事業を教えていただけますか?

主に2つの事業があります。1つ目は、オーガニックWEBマガジン『IN YOU』のメディアの運営です。WEBマガジンとして集客をし、その広告やイベントが事業の柱になっています。こちらでは「すべての人にオーガニックの暮らしを」というテーマに、読み物や暮らしのテクニック情報を発信しています。主婦の方もたくさん読んでくださっているので、そういった方々に刺さるコンテンツを開発し、発信しています。

もう1つの事業はeコマースです。こちらはネットショップの運営で、1年半くらい前に立ち上げたものですが、これもWEBマガジン『IN YOU』と連動しており、『IN YOU』でお伝えしている世界観を実現するために、初心者の方はどういった食材から揃えていくと良いのか、上級者にはどんな商品がオススメなのか……。そういったことを一貫してお伝えし、紹介するために立ち上げたサービスです。

正直を言いますと、東京は便利なんです。先日、大阪に出張してきたんですけど、大阪では例えばオーガニックカフェが全然ないんですね。オーガニックを扱うスーパーもないんです。そういった時に、「どこに行けばいいの?」「どこで買えばいいの?」と迷われる方が結構いらっしゃるんですよね。さらに、「本当にいいものを探しましょう」と言われた時に、実は知識がないと、該当する商品や食材を見つけるのは結構難しいんです。原材料をいちいち見ないといけなかったり、何が本当に安心なのかということは、なかなかわからなかったりすると思うんですよ。

そこで、オーガニックの知識があるバイヤーやスタッフ、もちろん、私自身が実際に厳重な審査をしたり、試食をした上で、「本当に安全だ」と納得したもの、さらに生産者に取材し、考えや想いを聞いて、「これだったら扱いたいな」と思ったものだけを厳選したサイトを立ち上げたっていうのが、冒頭にお伝えした『IN YOU』のメディアとeコマース、つまりIN YOUマーケットなんです。

――現在は、何名くらいのメンバーが2つの事業にそれぞれ関わっていらっしゃるんでしょうか?

まだまだ全体でもとても小さな会社なので、アルバイトとパートを含めても7名程度の組織です。事業ごとには、3名程度のメンバーでやっております。

――メディアを拝見したんですが、ライターさんは外部にいらっしゃるんでしょうか? 結構な方がコラムを書いていらっしゃるのかな、と思ったんですが。

そうですね。メディアに関しては、50名、60名が登録しております。全国各地にライターさんがいて、時には海外から発信されるライターもいます。最新の情報を持っている方、非常に意識の高い方ばかりが登録していて、すでにご自身でライフスタイルを提案していたり、先生として教えていたりするプロフェッショナルもたくさんおります。

――さきほど、「大阪でもオーガニックってまだまだ情報が少ない、拠点が少ない」とのことでしたが、一方で全国にオーガニックに興味を持って勉強なさっている方がたくさんいらっしゃるというのは面白いですね。

年間2千万以上の読者がいて、これからもさらに増えていくと思うんですけれど、まだまだ「興味はあるけれど……」っていう、潜在的な人が圧倒的に多いイメージはありますね。すでにライフスタイルとして取り入れている、商品も買っているという人は少ないのではないかと思います。「興味がある」「ちょっとオーガニックに触れてみたい」という方はもちろん、「体を壊してしまった。じゃあどうしたらいいのか。まずは食を変えてみよう」という方はもっとたくさんいらっしゃるのではないかな、と。さらにストレスで苦しんでいる人など、オーガニックを求め必要としている方は、潜在的な方も含めると、相当数が多いのではないか、と思っています。

■学生時代はオーガニックとは全く真逆の生活を送っていた

――今日のインタビューの前に、IN YOUさんについて、いろいろな情報を拝見したんです。普段はそういうことをしないんですけど、「オーガニックって何だろう」って下調べをしなくちゃ、と思って(笑)。松浦さんご自身も、「以前はオーガニックとは全く真逆の生活を送っていた」という記事を拝見したんですが、当時のことをお伺いしてもよろしいですか?

私は大学を京都で過ごしたんですが、京都には、もちろんちゃんとした和食もあるんですけど、スイーツがたくさんある町なんですよね。例えば、抹茶パフェとか。

――私も行きました。京都を訪れた時に食べに行きました(笑)。

そういう甘いものをほぼ毎日のように食べていたんですね(笑)。学校の中にもカフェがあって、そういうところに毎日のように通っていて、甘いもの漬けになっていましたね。

――毎日ってすごいですね(笑)。

それでいて、ちゃんとしたご飯を食べていたかというと怪しくて、チェーン店にも行っていましたし、コンビニ弁当やおにぎりで一日の食事を済ませちゃったこともありましたし。食に重きを置いていなかった時代があったんですね。住んでいたのも学生街で、回転寿司もコンビニもチェーン店もあって、しかも深夜でもそういうところに行けちゃうような環境にいたんですね。少しずつ自分が崩れていった感じでした。

――“崩れていく”という表現が怖いですね……。

ただ、学生時代はまだ食堂に行く機会もあって、お野菜を食べることも結構あったんですけど、状況が悪化したのが新卒時代でした。学生時代って、なんだかんだ楽しいことばかりしていればいいじゃないですか。寝たり、バイトしたり、いろいろとね。まだそんなに心のストレスっていうのはなかったんです。でも当時、“超就職氷河期”って呼ばれていた頃ですけど、私自身、「自分がやりたい仕事ってなんだろう」っていうことが急にわからなくなっちゃったんですね。やりたいこともあるにはあったんですけど、学生時代に思うやりたいことって、実はそんなに的を射ていなかったりしますよね。なんとなく思っているけど、実際にやってみたら、やりたいことでは全然なかった、みたいな。

――ありますよね、そういうこと。

私、そういう人間だったんです(苦笑)。学生時代は再三イベントを開いたりして、結構活発な学生だったんですけど、就職活動にあまり興味を持てなくって、結局、今考えれば申し訳ないんですけど、自分のやりたいことがわからないまま就職しちゃった……っていう過去があったんです。「まぁ、大手だし」みたいな本当に浅はかな考えで入社して社会人になっちゃって、そこから急激に体調が悪化していったんですよね。

■職場のストレスから、朝から晩までめまいが止まらないような状態に陥ってしまった

――それは“心のストレスによる悪化”という認識でした?

あと“食べ物”ですね。ストレスと両方重なって、すごく具合が悪くなってしまって。職場環境も自分にとっていいとは思えなかったんです。やっぱりやりたかった仕事でもないし……、なんて言うんですかね、「自分の魂が求めているものではなかった」っていうのがわかって。それでいて学生時代よりもさらにひどい食生活を送っていましたし、お酒も飲んでいましたし、そのうちに回転性めまいが出てくるメニエール病の症状が出てきてしまいました。
ありがたいことに入院するレベルまでには至らなかったんですけど、働きながら、その一歩手前の状態に陥ってしまって。
周りから理解が得られないんですよ。普通に立っていれば、健康な人に見えるんです。でも、自分は常に船酔いになっているかのような、ふらふら世界がまわっている状態なんですね。ちょっと屈んで立ち上がろうとすると、もう天井がぐるぐるまわっているんですよね。

――怖いですね……、それはしんどそう。

船酔い、車酔いがずっと続いているような感じなんです。朝起きた瞬間から、寝る直前までずっとそういう気分なので、気持ちが悪くて吐き気がして。どんどん仕事もできないような状態になってしまって。でも周りからは全く理解が得られなくて、「ちゃんと仕事しろ」って言われるわけです。
それで、「これは本当に無理だ」と結論を出して、仕事を辞めることにしました。

――それは「もう限界だ」と、「もうこれ以上、仕事をしていられない」という心の叫びだったんですね。

そうですね。「とにかく今のストレスから離れたい」っていう気持ちと、食生活の改善も含めて、「生活を立て直すために現状から抜け出そう」っていう気持ちと。「もうニートでも、アルバイトでもいいや」みたいな感じでした。

――それは新卒で社会に出てから、どれくらいのことですか?

新卒で入社して、6~7ヶ月くらい経った頃のことですね。私、新卒で初めて辞めた社員だったんですよ(笑)。大手で50~60名が採用されたらしいんですけど、退職した最初の1人。「もう辞めるの?」みたいな感じで言われて。

――でも「これ以上続けてはいけない」っていう状況だったわけですもんね、周りがどう言おうと。

そうです、そうです。「これ以上続けたら死ぬ」って本当に大泣きして親に電話したりして。相当ギリギリだったんですよね、精神的にも。そういう生活を続けた結果、鬱になってしまう若者も増えているじゃないですか。私もそうなってしまったかもしれない1人だと思って、思い切って捨てたんです。別に職場は大手企業でなくてもいいし、「バイトでもなんでも死ななければいいや」みたいな感じで辞めたんですね。

――なるほど。そこから食生活の見直しに取り組んだのは、割りとすぐだったんですか? 私だったら、「まずは病院に行こう」「休みを取ろう」ってなるのかな、と思ったんですが。

実は昔から私の周りは医者家系で、親戚にも医者が多かったんですね。そのせいかあまり「医者のところに行こう」っていうのは逆になくて。そういうのに恵まれすぎていたんでしょうね。ある程度、何が原因なのかを考えるクセはあったみたいで、「まずはちょっとストレスを改善しよう」って思ったんです。
前提として、「心の調子が整わないのに、食生活って改善できないな」って思っていて。よく「食を改善しろ」って言われますけど、「そんなことを鬱病の人に言っても通じない」って、本当にその通りだなと思って。“食”ってたぶん、ワンランク上のステップだと思うんですよ。自分の心の調子が整って初めて、「食事に気をつけよう」って思えるレベルに達すると思うんです。オーガニックもそうですけどね。
そう思ったので、まずは職場を変えてストレスから解放されよう、と。結果、ネット系のベンチャー企業で、ありがたい環境でやりたいこともやらせてもらえる機会にも恵まれて、それで少しずつ自分を取り戻せたんです。

■オーガニックを学んでいくうちに、「自分と同じように考えている人って結構いるんだ」と気づいた

――あぁ、良かった!(笑)。

その頃、いろいろと本を読んだり、ネットで情報を見たりしていた中で、“オーガニック”っていうものにたまたま出会ったんですね。
当時、自分の母親世代の知人がどんどん癌とかになっていくのを目の当たりにして、「怖いな」って思ったんです。癌って国民の三大病ですし、若い世代だって癌になる可能は低くないんだな、と。「私もこのままの乱れた生活だと、将来はそうなるんだろうな」と思ったんですよ。
調べていくと、案の定「こんな食生活を送っていると、癌になりやすい」っていう文献も出てきて。たくさんお酒を飲んでいる人、甘いものばかり食べている人、添加物をたくさん摂取している人は癌になりやすい、って。データもたくさん転がっていて、「これ、まさに私じゃん!」って思ったんです。
「それ、ちょっと怖い」と思って調べている時に出会ったのが、“オーガニック”や“マクロバイオテック”という考えだったんですね。

――なるほど。その頃は、そうやって調べたことを発信して、今のようにお仕事にしようとは思わなかったんですか?

その時は本当に趣味みたいな感じでした。周りの友人も、かなりジャンクな人が多くて(笑)。

――「一緒に遊ぼう」ってなったら、カフェで甘いラテを飲んでとか?

「居酒屋に飲みに行こう」とか(笑)。 でも、そのうち、私もそういう人たちと徐々に波長が合わなくなってしまって。マインドとか心とか食べ物とかが変わっていくと、付き合う相手も変わってくるんですよ。それで、「私と合う人って、なかなかいないな」と思った時に、イベントをやり始めたんです。
学生時代から結構100人単位で、いろいろなイベントをやったりしていて、ちょっと「意識高い」系の人間だったんですね(笑)。モラトリアム期間をぼーっとして遊んで過ごすなんてありえない、と思っているようなタイプで。そういうノウハウを活かして、自分なりにオーガニック関係のイベントを始めたんですよね。

――しつこいようですけど、それは仕事って言うよりも趣味?

趣味ですね。まあ最初は副業にもならないレベルの収入で、本当に趣味、遊びみたいな感じでやっていたんです。それで10名~30名単位っていう、小さな単位ではあったんですけど、「ビーガンやオーガニックに興味のある人たちが集まるだけの会を月に1回は絶対やろう!」みたいに勝手に決めて、続けていたんですね。
そうしたら、同じように思う人が想定していた以上に多くて、みんな同じ悩みを持っていたんです。「理解者がいない」とか「情報がない」とか、「同じ考えを持つ人達に出会う機会がない」って。みんな感じていることは同じだったんです。
そこから、そういう人達がみんな、私のイベントに来てくれるような流れが生まれて、私もそこで友達ができて、「面白いな」って。「わかってくれる人、結構いるんだ」「食に気をつけている人、ちゃんといるんだ」みたいな感じですよね。すごい衝撃的だったんです。「自分も別に、周りに無理に合わせなくていいんだ」っていうことがわかったんですね。
それまでは、そういうこだわりを隠していたんですよ。「食生活に気を遣っているんだって?」って言われても、「まあ、みんなと同じものも、一応食べられるから全然大丈夫だよ。」って言ったり、「あまり気を遣わなくていいよ」って言ってみたり(笑)。変に装うわけではないけれど、自分自身が周りの人間に対して、壁を作っていたんですよね。
でも、「別にいいじゃん。食に気遣う人たちって、世の中にたくさんいるんだから」って。「趣味の仲間がいるのと同じように、食だって共感し合える仲間とともにすればいいじゃん」って思ったんです。「その方が美味しく食べられる」って。「変に気を遣わなくていいし、お酒だって飲めないのに飲めるふりをする必要もないし、そういう付き合いもしなくていいんだ」って思ったら、「ああ、すごく気持ちがいい空間があるんだ」っていうのがわかったんですね。
その内に「これ、自分だけ味わっていたんじゃ、ちょっとつまんない」みたいな気持ちが出てきちゃって、WEBマガジンを立ち上げようみたいな動きにつながっていったんです。

■副業にすらならなかったけど、好きなことだったからライフスタイルの中で活動を続けていた

――そのWEBマガジンの立ち上げは、お1人だったんですか?

いいえ、3人いました。今はもう辞めた方なんですけど、「ブログサイトを一緒にやろうよ」っていう機会があって。私もいろいろと調べていて、たまたま出会ったんです。まだ何も立ち上がってないサイトだったんですけど、「やってみたい!」っていう感じで飛びついて、当時3名程度で活動を始めたんです。
その時は“食べ歩きブロガー”のような感じで、個人的に趣味でブログをやっていたレベルだったんですよね。それをもっともっと公共の場に発信していく、といった活動を始めたんです。

――それが今の仕事につながっているわけですね。

そうです。今の仕事の源、きっかけになります。

――その時は、まだ本業ではなく、仕事をしながら活動を開始した、という感じだったんでしょうか?

そうですね。当時はまだ会社に所属していたので、WEBマガジンの活動は、週末土日だけとか、平日の夜に少しやるとか、本当に自分のライフスタイルの中でできることをやっていた感じです。お金にもなっていなかったんで、副業にすらならなくて。収入として1円も入らない時期が1年間くらい続いていました。でも、好きだったから、“仕事”という意識もなかったんですよね。自分でオーガニックのレシピを作ってWEBに掲載したり、見よう見まねで取材をお願いしてみたりしていました。

――結果的にお勤めになっていた会社を辞め、起業なさるわけですが、その経緯はどんなものだったんでしょうか?

徐々に反響が集まってきたんですね。当時一緒にやっていたメンバーはみんな、自分でご飯を食べられるくらいのスキルがある方ばかりだったんですよ。優秀な方々だったので、すでにフリーランスみたいに活動していて。本格的にWEBマガジンを立ち上げるとなると、やはりコミットメントしないと難しい。そういうことを考えた結果、それぞれのやりたいことも微妙に違っていたりして、一度解散することになって、このプロジェクトに残ったのは私1人になったんですよね。
「ここからどうしようかな」って考えたんです。プロジェクトをリニューアルしたいし、ライターも増やしたい。それまでは「1日1記事完成すれば十分」「毎日自分がブログみたいな感覚で更新している」みたいな温度感・スピードだったんですけど、これじゃもったいない。もっと大きくしたい。「これを一気に加速させるためにはライターも必要だ」なんて思ったりして。
でも、結果的に、想定以上のライターが集まって、常に50~60人が集まっている、という状況にもっていけたんですよね

――すごいですね、反響が大きかった分、人が集まってくるのも早かったんですね。

そうですね。そうこうしているうちに、新しいファンがついてきてくださって。一時は、自分だけが発信するサイトみたいになっちゃった時期もあったんです、ブログみたいな。でも、それだと自分だけの価値観しかなくて面白くない。40人とか50人とか、いろんな価値観や知識を持っている人が集まって、その人たちの“知恵袋”が結集した方が面白いな、って思ったんですよね。

■「個人でやっています」よりも、会社として活動した方が信頼と信用をもらえると聞いて、起業した

――そうやって、メンバーもファンも集まっていったんですね。

ありがたいことに、立ち上げて1年半くらいの時期にはすでに、「広告を出したい」って言ってくださるクライアントさんも現れて。本当にありがたいことなんですが、起業する前からクライアントさんがいたんです。そういった方々に応援していただいて、まだ食べられるほどの給料ではなかったですけど、多少なりとも収入を得ることができていったんですね。
お手伝いしてくれる人、サポートしてくれる人も現れて、少しずつプロジェクトが膨らんでいったので、「これなら大丈夫だ」と思えて、「起業しようかな」という想いに至った……、そんな感じですね。

――なるほど。「起業しよう」と決める前に、起業しているような状態になっていったんですね。メンバーもいて、クライアントもいて、ファンもいて。素敵ですね。

どうしても、「個人でやっています」ってなると怪しまれてしまうというか、大きな信頼、信用につながりにくいな、と。周りの方からも「起業した方がいいよ」って助言をいただいて、「その方がクライアントの信頼にもつながるよ」って。正直、私には「絶対、起業家になってやろう」っていう気持ちも精神もあまりなかったんですけど。昔、憧れたりはしていましたが……。周りの方にいろいろアドバイスをいただいて、「そっか!なんか面白そうだし、とにかくやってみようかな!」って思って起業した、というのが本当のところですね(笑)。

――起業されて、いよいよ仕事になって、ご自身の中で何かマインドや意識は変わりましたか?

さきほどお伝えしたとおり、それまでは会社の仕事がありましたから、どうしてもWEBマガジンにかけられる時間に限りがあって、スピードは出なかったんですね。確かにそれはそれでまわっていたんですけど、やっぱり忙しかったし片手間だった。でも、起業すると決めて、自分にコミットメントしたことで、新しいメンバーを雇うこともできるようになって、自分1人じゃなく、チームができていって、スピード感も生まれて。起業前とはやっぱり全然違うな、って思いましたね。

■オーガニックの生活をスタートしてから、日常生活の違和感を全て絶っていった

――ホームページに「人を良くすると書いて“食”」っていう記載があって、私、ドキッとしたんです。

なるほど! そうなんですね。

――私、普段、無意識に食べているわけです。でも、食べているもので私たちは成り立っているんだな、と思った時に、「私はちゃんと、自分を良くするものを食べているのかな」って自問自答して。

私も、自分の中に余裕がないと、「いいものを食べよう」とまでは至らないのかな、と思っています。今、健康格差とか社会的格差とかがすごく広まっているので、各業界の方々にも伝えているんですけど、それも収入格差と一緒で、余裕がない人達から広まっているんじゃないか、と思うんです。その日を生きるのに必死だったり、ストレスと戦うのに必死だったり。食を変える前に何かしらを必要としている人達が圧倒的に多いんです。そういうのを少しずつ解消できるようにしたいな、と考えています。

――これは私のことではないですけど(笑)、現代人って忙しいし、ストレスもあるし。その満たされない部分を満たすために夜中にラーメンを食べちゃうとか、飲み会の帰りにもう一軒行こうとか、そういうことで安心が欲しかったりするのかもしれないですね。“孤独”っていうものとは違うかもしれませんけど、何かしらの違和感を埋めるために“食べちゃう”っていう人もいるかもしれないですね。

そうですね。私自身、違和感がある人間関係って嫌ですし、そう考えると嫌なことだらけでしたね、昔は(笑)。オーガニックの生活をスタートしたことによって、その違和感を全部斬っていったんです。
ちょっとでも日常の違和感を斬っていく、ということは今も徹底するようにはしています。私はそれで自分が健康になっていくと思うんですよね。
深い話になっちゃうんですけど、“食”だけじゃないと私は思っていて。オーガニックなライフスタイルっていうのはやっぱり“心”と“食”のリンクなんです。だから、“心”の違和感を、徹底的に排除していくっていうところはすごく重要だと考えています。

――勇気が要りそうですね(笑)。

最初は私も勇気の要ることだと思っていました。例えば、会社を辞める、とか。自分が「やらなきゃいけない」と思っていたことをやめる、とか。「付き合わなきゃいけない」と思っていた人間関係を斬るとか。人によっては「怖い」と思うでしょうし、「やばい」と思うかもしれない。
でも、実際にやってみると、違和感を断捨離することで、逆に素晴らしいことが起こって、一気にいい流れができ、楽しい未来が訪れた。確かに勇気は要ったんですけど、今は勇気を出して良かったと思えるようになりました。
私も怖かった。でも、こんな弱くて心配性な私でも大丈夫だった。「だから、大丈夫ですよ」って言いたいですね(笑)。

■「仕事は仕事」と割り切るのではなく、ライフスタイルとして楽しみながら働ける会社を目指している

――メンバーについても教えてください。今、6~7名いらっしゃるとのことでしたが、起業当初、最初はどんなメンバーで始めたんですか?

この後、もう1人の社員にインタビューに協力してもらおうと思っているんですが、その小林という者は、創業時から一緒にやっているメンバーです。ニューヨークにずっと住んでいたこともあって、英語のスペシャリストでもあって、翻訳もすごくよくできる。今もそうですが、ヨガ講師としての一面も持っている。その小林は何でもできる存在ですね。イベントの運営も任せちゃったり、ライターもやってもらったり、講師をお願いすることもあったり。今はセールスやバイヤーとしての仕事も任せています。

――小林さん、マルチですね(笑)。

申し訳ないことに、いろいろとシフトしちゃっているんですけど、組織の成長に合わせて、いろんなことを覚えてもらっています。
今の段階で言えば、小林の他には、エディター、エディターアシスタントがいて、さらに事務の人、セールスを担当する人、カスタマーサポートを担っている人がいます。

――松浦さんが採用なさる時には、「こんな人と一緒に働きたい」っていう条件みたいなものはあるんですか?

私、結構激しい面もある人間だと思うんですよ。「なんでもいいよ」みたいなことが言えない人間で、「それ、やっぱり間違ってない?」みたいなことも思ったら、はっきり言っちゃうんですよね。もともと、嘘をつかない、まっすぐな人が好きなんですが、そのためか結果的には、IN YOUにもまっすぐな人が集まっているかな、という気がします。
私自身、過去の職場ではいろいろと経験をしたんですが、裏表の激しい人や、コソコソと人に嫌がらせをする人って、やっぱりいるわけですよ。そういう人は、何があっても絶対にメンバーに入れてはいけないと思います。自分自身の正義感もあるんですけど、組織としてあってはならないと思うんです。
あとは、いい意味でオーガニックに対して共感を持つ人って、なんだかんだ言って社会的な問題意識を持っていたり、自身がオーガニックで救われた経験を持っていたりするので、全員が全員ではないですけど、そういう人が集まる傾向にはありますよね。

――今後、どんな人にメンバーとして加わってほしい、という想いはありますか? あるいは、「うちの会社、こんな会社ですよ!」っていうアピールポイントがあれば、ぜひお願いします。

今、募集しているのは営業のメンバーなんですが、会社自体がまだそんなに大きくないので、“いろんなことに挑戦できる”、“可能性が無限大に広がっている”っていうところが面白いと思います。
もちろん、パフォーマンスと成果が上がれば、という前提ではありますが、将来、自分の事業を立ち上げることもできるかもしれないし、新規事業のプランナーとして活躍できるかもしれない。あるいは、「デザインを変えましょう」ってリニューアルに携われたりするかもしれないし、商品を開発する部隊で自分を試せるかもしれない。そういう可能性が溢れている会社なんじゃないかな、って思っています。

――すごいですね! 夢が広がりますね!

本当に可能性は無限大で、「絶対にあなたの夢が叶います。」って言ったら言い過ぎですけど(笑)。「あなたのやりたいことや得意なことがあればフランクにききますよ」っていうスタンスです。私自身、「仕事は仕事、遊びは遊び」とか、「遊びの時は仕事のことは忘れよう」っていうスタンスではないんですね。ライフスタイルとしてちゃんと働ける会社がいいな、と思っていて、IN YOUはそういう会社じゃないかなと思っています。
あるじゃないですか、「アフター5は絶対に仕事の話はしない」とかって。それって不自然だと思っていて。

――私もそう思います。「どんだけ仕事がつまらないの? 辛いの?」って思っちゃうこと、あります。夜、ご飯食べながら、「あのプロジェクトさ」って語るのだって楽しいですよね。

そうですよね。楽しい仕事だったら、いいじゃないですか。仕事の話で盛り上がるのもいいと思うんです。私は仕事に関して、「強制的にやらされるものではない」「その人の意志をなるべく尊重したい」と思っているので、話をちゃんと聞くようにしています。「あなたは何だったら活かせると思っているの?」「何をやりたいと思っているの?」っていうことをヒアリングしようと思って。そういう点は、IN YOUのいいところなんじゃないかな、と思いますね。

――今日は松浦さんと一緒に働いていらっしゃる小林さんにもお話をお伺いできるとのことで、ここから一度、小林さんにインタビューをお願いしたいと思います。

――小林さんが今、ご担当なさっているお仕事を教えていただけますか?

今、弊社は、オーガニックWEBマガジン『IN YOU』の運営と、オンラインショップの運営をしておりまして、私はオンラインショップを担当しています。弊社に集まっている消費者のみなさまは、より健康的なもの、より安全なものを求めていらっしゃるので、何でもかんでも商品を扱っているオンラインショップではないんですね。そこで、私は国内外問わず、よい商品を見つけてきて、その商品ひとつひとつの審査を担当させていただいています。実はオーガニックに関しては海外の方が進んでいる点が多いので、今後はよりよい商品を海外から集めてきて、ショップでの販売に力を入れていこうとしています。

――具体的にはどのように商品を見つけてくるのでしょう?

弊社のWEBマガジンをご覧になってIN YOUを知ってくださり、「ぜひ、置いてください」と声をかけていただくこともあれば、私たちで展示会などに足を運んで、発掘してくることもあります。海外の商品についていえば、ドイツにオーガニック関連の大きな展示会があるんですが、そこに代表の松浦が足を運んで見つけてくる、ということも多いです。あとは、海外の企業が来日することもあるので、そういった展示会に行くこともあります。日本で商品を広めたい、と思っている海外の会社さんも多いんですよ。

――なるほど。商品を見つけてきて、審査をする、と。審査というのは、具体的にはどのようなことをするんでしょう?

まずは原材料を全てチェックさせていただきます。食品添加物等が使われてないか、化学的に合成された農薬や肥料使用の有無、トランスファット、遺伝子組み換え作物の使用の有無等、確認事項は多岐に渡ります。有機JASの認証がある商品が対象ですが、認証がない商品でも、無農薬で作物を栽培している農家さんや自然栽培の農家さんの商品も取り扱わせていただいています。
あとは化粧品についていえば、海外でオーガニックの認証を取得している化粧品でも、例えばお肌に負担のかかる成分を使っている場合があるんです。そういうものを細かくチェックします。オーガニック認証があるならば、全てがOKというわけではなくて、原材料をすべて見て、流通している中でも、より良いものを見つけていく、ということを意識して徹底しています。

――本当に徹底していらっしゃるんですね!

原材料を見ただけではわからないことも多いんです。なので、企業に問合せの電話をしたり、展示会で担当者にヒアリングをしたりすることもあります。

――結果的に、どれくらいの商品が審査を経て、ショップに並ぶんでしょうか? あるいは、どれくらいの企業や団体が、審査を通って、お付き合いに結びつくんでしょうか?

もちろん物にもよりますが、例えば展示会に行って、300社に会ったとしても、ビジネスでお付き合いするのは、30社くらいですかね。

■「もともとはアメリカでミュージカルのダンサーをしていたんです」

――IN YOUに入社される前の経歴を教えていただいてもよろしいですか?

もともとはアメリカでミュージカルのダンサーをしていたんです。

――え! 私、ミュージカル大好きなので、今、一気に興奮しました! そうなんですね!

主にブロードウェイミュージカルの仕事をしていました。ニューヨークの42番街には手が届かなかったのですが、アメリカは日本とは比べものにならないほどエンターテイメントが盛んなので、各州にシアターもたくさんあるんです。ニューヨークでオーディションを受けて、仕事が決まったら、別の州に飛んで、その州に数カ月滞在し舞台の仕事をする。舞台の仕事が終わったら、またNYでオーディションを受けて、っていうスタイルで、アメリカで暮らしていました。

――きっと厳しい世界ですよね。特にニューヨークなんて本場じゃないですか。

その当時を思うと、本当に食のおかげでがんばれていたんだな~と思います。だからこそ、食の大切さについて伝えていきたいと思っています。食べることがどれだけ大切か。

当時、ストレスも多かったんです。それこそオーディションに行ったからって毎回受かるわけではないし、履歴書も何千と送りました。しかも現地では、“タイプカット”っていうのがあるんです。作品に合わない人は、ダンスも見てもらえず、ただただ見た目や外見だけでチャンスを奪われてしまうんです。

――体型維持もあれば、体調管理も大事ですよね。

アメリカって日本と違って、普通のスーパーでオーガニックのものを売っているんですね。そういうところからオーガニックの食品を食べるようなったのかもしれませんね。体調を崩してしまったことがあって、自分なりに東洋医学も勉強するようになって、結果的にそれが今の仕事にも役立っていると思います。

■翻訳からヨガ講師から、ライター、商品管理まで、仕事と活躍の場は多岐に渡る

――日本に帰っていらっしゃったのは、IN YOUに入社するためですか?

実は、体を故障させてしまったんですね。ニューヨークではヨガ講師としても働いていたんですが、ダンサーとして働くには体が持たなくて。それで帰国しました。帰国してからは、英語の通訳や翻訳の仕事をしていた時期もありました。

――そうだったんですね。IN YOUさん、代表の松浦さんとはどんなきっかけで知り合ったんでしょうか?

とある雑誌の会社の方から、「イベントでヨガ講師をお願いしたい」という依頼が来まして。そのイベントの主催者が松浦と知り合いで、その後、松浦と会って、そこから一緒に仕事をするようになった、という出会いです。

――「一緒に仕事をしよう」と声をかけられた?

その頃は、イベントをオーガナイズする仕事があって。それが一緒に仕事をするようなきっかけだったかな、と。その後、松浦が会社を立ち上げ株式化してから、正式に呼ばれました。1年半~2年前のことですね。

――当時はまだ社員は誰もいなかったんですよね?

そうですね、私が1人目でしたね。

――さきほど、松浦さんが「小林には、いろいろな仕事を任せてきた」とおっしゃっていたんですが、担当されたお仕事は多岐に渡りますか?

そうですね。社員として入る前にも、ライターとして記事を書いていた時期もありました。もともと知識はある方なので、IN YOUではオーガニックライセンス認定講座も運営しているのですが、その講師として働いてもいます。この講座ではよりヘルスコンシャスな生活の仕方について、オーガニックなことも含め、医学的なことも含めて、みなさんにお伝えしています。

ECのオンラインショップ、認定講座、そしてライターとしての情報発信を、みなさんにより健康になっていただきたいという「想い」で行っています。

――おそらく、この1年半から2年の間に、メンバーが徐々に増えていったと思うんですが、小林さんの視点でご覧になって、IN YOUにはどんな方が多いですか?

今いるメンバーはみんな素直で、働きやすいですね。“オーガニックに興味がある”というのは、当たり前かもしれませんが、共通しているところですね。「みなさんの健康のために働いている」という想いも共通しているので、それを軸にしていろいろな活動や行動が生まれているのかな、と思います。

■アメリカのセレブの間では健康食がブーム。それをきっかけに、日本でもオーガニックがもっと広まったら嬉しい

アメリカって、オーガニック商品が日常生活に溢れていて、手が届きやすいんです。

――いっぱいありますよね。私もアメリカに住んでいたことがあるのでわかるんですけど、アメリカ人ってピザやコーラを食べているイメージがあったんです。でも同時に、おやつに野菜のキャロットを食べている人もいたな、って。ビックリしたのを覚えています。

アメリカがそうなったのは、あまりにも不健康な人が増えすぎてしまったという背景があるんですよね。日本について言えば、アメリカの食事が入ってきて、もともとの伝統的な日本のヘルシーな食事がアメリカの食生活に変わっていってしまったと思うんです。その結果、そういうライフスタイル、食生活ゆえに体調を崩してしまっている方もいらっしゃると思うんですね。
日本ではアメリカのセレブが流行らせたものがすぐにトレンドとして入ってきやすい一面があると思うんですね。今、アメリカのセレブの間では健康食がブームなので、きっとそれが日本に入ってきて、日本に住む人もオーガニック食品を生活に取り入れてくれたらいいな、と思っています。私は、それをお手伝いしたいですね。

――確かに日本人って、アメリカのセレブに弱いところがありますよね(笑)。

■そもそも食べることに楽しみがないと意味がない。オーガニックの前に、本人が幸せであることが大事

――海外のオーガニック関連の企業や団体は、日本のマーケットについては、どう見ているんでしょう?

私は主にヨーロッパの企業や団体と連絡を取っているんですけれども、彼らの中には、「日本でマーケットを広げていきたい」と言って、日本のマーケットに注目している人も少なくないんですね。進出しようと考えている会社もあるんですよ。

――そうなんですね。まさにIN YOUの出番ですね! ちなみに、実際にヨーロッパの方は日本にいらっしゃった時、どんな風に日本を見ていらっしゃるんでしょう? というのも、私のアメリカ人の知り合いや友人は、「日本について、もっとヘルシーな食文化の国だと思っていた」って言う人が多いんですね。アメリカでは日本食って、豆腐とか、寿司とか、グリーンティーとか、とにかくヘルシーなものが多いイメージだけど、実際に日本に来るとヘルシーな食事よりもジャンクな食事が多いよ、って。

私もアメリカから帰ってきた時は、中身がアメリカ人のようなものだったので(笑)、同じように思いました。私はベジタリアンなんですけど、日本だと「ベジタリアンです」って言うと、ちょっと変わっているような見られ方をすることもあって。それはビックリしましたね。

――ベジタリアンについても、アメリカでは、ティーネイジャーのアイドルなんかも「私はベジタリアンだから」なんて公言していますよね。日本では、あまりそういうことを言っている有名人ってまだまだ少ないと思うんです。あとは、海外では宗教の問題があるので、肉が食べられないとかそういう方も少なくないですよね。もっと個々人の生き方や選択肢の幅が広がるといいですね。

日本はどうしても「みんながやっているなら」っていう風になってしまうところがあります。でも、私はそれもいいと思っているんです。
いくら「これを食べたら健康になる」と頭ではわかっていても、そもそも食べることに楽しみがないと意味がないと思うんですね。なので、意識して食べるものに気をつける時は気をつけて、そういうことと関係なく、美味しいものを食べたい時は美味しいものを食べれば、それはそれでいいんじゃないかなと思います。一緒に働いているメンバーの中に男性もいますが、普通にコンビニのお弁当とか食べています(笑)。今後、彼の食が変わっていくかどうかわからないですけど、私はそれはそれでいいと思っています。ベースとしてハッピーであることが大事で、ハッピーであることの中で、みんながオーガニックを知って、取り入れていければいいんじゃないかな、って。そんな風に思っていますし、そのお手伝いしていきたいと考えています。

■オーガニックに興味を持つ人は増えたけど、生産と流通が追いついていない。ここを何とかしたい

――松浦さんは今後の会社組織の展望については、どのようにお考えですか?

事業的なところでは、eコマース事業にかなり力を入れていきたいと思っています。今はまだ、アイテム数が数百単位でしかないんですけど、数千単位まで広げて、IN YOUマーケットを日本を代表するオーガニックのマーケットにしていきたいと思っています。
あとは海外にもいい製品や商品がたくさんあるので、グローバルにつながっていきたいですね。本当にすごい製品を使っている人たちがいるんですよ、プロデューサーみたいな。日本ではまだ作れないレベルのものを作っている方もいらっしゃいますしね。そういう人たちとコラボしていきたいと思っています。
そういう人たちの存在を知っていって、伝えていって、結果的には日本でもそういう生産者を増やしていくということもしたいし、自分たちでも作っていきたいなと思っています。

――日本のオーガニックの農地の割合……、確か全体の0.3%でしたっけ? 私、その数値にビックリしたんです。「もっと高いと思っていた」と思って。

まだ0.2とか0.3%をさまよっているところですね。

――ブログや記事にも書いていらっしゃいますけど、日本ってその点ですごく遅れているんですよね。遅れている、というか、まだまだ知識が追いついていない。私はずっと東京にいるので、「割りとオーガニックって日常に溢れている気がするな」と思っていたんですけど、全国で見ると、まだまだ、と。

今、海外でオーガニック先進国と呼ばれるている国は、ドイツとかフランスとかオーストラリアなんですね。スーパーマーケットでも、商品ラインアップに選択の幅があって、数百円払えば、オーガニックのものを選べるようになっています。でも、そういう国も過去をさかのぼると、今の日本みたいな感じだったらしいんです。「10年前はオーガニックを扱うスーパーも少なかったよ」って聞くんです。
だから、日本もきっと今から変わっていくんじゃないかなと思っています。今はやっぱり消費者が意識を変え、農家の生産者が意識を変え、国としても意識を変えていく、そういう重要な時期が訪れていると思っています。今、非常にありがたいことにオーガニックについて興味を持っている人が増えているんですね。

ただ、生産が追いついていない。生産だけでなく、流通も追いついてない現実があるので、そこをなんとか力を合わせて、個々人ががんばるのではなく、各業界ががんばっていく必要がある。生産が追いついて、流通の問題も解消されれば、おのずとみんなの手の届きやすい金額に落ち着いてくると思うんです。今はどうしても輸入物だと関税の問題とか、輸入の流通の問題とかが絡んで、消費者の負担が大きいんですよね。だから、今こそが変わっていくタイミングなんじゃないかな、と思っています。

――私、個人的に「期待できるんじゃないかな」と思っているのは、世の中の“お母さん”の存在なんですよね。私の同年代の友達なんかは、独身時代は好きなものばかり食べていたのに、妊娠して、出産したら、「娘にはいいものを」「息子の食事はちゃんとしないと」って言っているんです(笑)。みんな、子どものこととなるとすごく気を遣うんだな、と思って。「グルテンフリーが」とか言っていて、「あなた、そんな単語、使っていなかったじゃない」みたいな人が、周りにもいるんですよね。「情報を収集して、知識を活かしていくんだな」って。こうやって消費者が世の中を変えていくのかな、って期待しています。

私も知識を伝えていくのがすごく大事だと思っています。講演会に行かせていただくことがあるんですけど、今まで全くの無関心だった人が、「講演を聞いて考えが変わりました」って言ってくれるんですよ。私に声をかけてくれたのは、その1人だけだったかもしれないけど、きっとその人がまた周りの人にオーガニックの良さを伝えていくと思うので。そういうのが大事だなと思います。

■まずは「この食事は腸にとっていいのかな」を意識するところから始めてみて

――そうですよね、本当にそう思います。最後に、ちょっとお願いがあるんですが、「オーガニックって女性と子どものもの」っていう認識を持っている男性も少なくないと思うんです。女性のタレントさんやモデルさんは、「オーガニックを使っています」って発言されることも多いんですが、男性の有名人がオーガニックを語ることって、あまりないと思うんですね。私も、普段意識しているのはワインくらい(笑)。ワインを頼む時は、「ビオワインで」って言うくらいかな、と思うんです。二日酔いになりにくいイメージがあるので(笑)。オーガニックに親近感を覚えていない男性に、何かアドバイス、メッセージってありますか?

ちょっとイメージしていただきたいんですが。今、流行っている言葉の中に“腸内フローラ”っていう言葉があるじゃないですか。腸内にお花畑があるイメージをしていただきたいんです。腸内って、いろんな細菌でできているわけです。いい菌も悪い菌もあるんですが、その中の細菌によって自分の行動も支配されている、っていうのが最近では科学的に証明され始めているんですね。

――細菌によって行動が変わるんですか!

「自分の体=自分」と思い込んでいますけど、感情とか頭とかって、実は細菌によっていろいろ支配されているものなんですって。ということは、その細菌とうまく付き合っていくことが大事。食事をする時に、「ちょっといい菌を増やそう」って思ってほしいんです。
いい菌を増やせば増やすほどいい健康にもなれるし、病気にもならないんです。腸がほとんどの免疫力を握っているということも科学的に証明されているんですね。だから、“オーガニック”ということを意識するというよりも、「腸にとって、この食事はいいのかな」って考えながら食事や食材を選ぶのがいいんじゃないかな、と思います。

――なるほど。

例えば日常生活の中で、「玄米っていいよ」「サラダで野菜を摂取した方がいいよ」っていう情報は入ってくると思うんですね。唐揚げチキンは美味しいだろうし、ラーメンも美味しいだろうけど、「いきなりそれを食べちゃっていいのか」「腸は喜ぶのか」って考えるだけでもいいと思います。

――確かに腸のことを考えると、余裕が必要ですね。唐揚げチキンを衝動的に食べちゃうのって、舌と脳に刺激を与えたいんだと思うんです。「あ、うまい!ピリッとしてる!」って。全然、腸のことを考えていないですね(笑)。

「唐揚げを我慢して、有機野菜を食べた! これで5ポイント上がった!」みたいに思うと、「もうちょっといいもの食べようかな」とか、「ちょっとスムージーを飲んでみようかな」みたいに意識が変わっていくのかな、って。それが増えれば増えるほど、健康になる。腸内フローラも喜んで、自分も健康になっていくので。「自分の体は自分だけじゃないんだ」っていうのを思い出せばいい。そのくらいから始めてもいいのかな、と思います。

――それくらいなら私でもできそうです! 早速、意識してみようと思います!

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