• 十時麻衣

女性が働きやすさを感じられる、働く環境の「受け皿」を増やしたい

今回は、渋谷のオシャレなオフィスにお邪魔し、会社で“二番手”として働く十時麻衣さんにお話を伺いました。もともと負けず嫌いな性格で、「男性・女性関係なく、その仕事で一番になりたい」と考えていた十時さんは、前職の職場で出世コースを走っていた佐藤さんとともに転職・起業し、今の会社を立ち上げました。

営業として、仕事に生きていた前職時代の経験をもとに、消費者の立場にたったサービスの展開をし、また経営に携わる一員として、様々なキャリアウーマンの働く姿とジレンマを見てきた経験から、女性にとって働きやすい会社づくりを進めている十時さん。今後、会社が必要とする人材について、また社員の皆さんに活躍してもらうために、どんな会社を目指しているかについても、語っていただきました。

インタビュー実施日:2018年3月30日(らしくインタビュアー渡辺)

目次

■1つはECネット通販のコンサルティング事業、もう1つがネイルサロン事業の会社

――十時(ととき)さんって珍しいお名前ですね。

そうなんです(笑)。旧姓は「佐藤」で当たり前な感じの名前だったんですけど、今は結婚していまして、新姓が十時になりました。

――なかなか読める人、少ないのでは?

そうですね。「じゅうじさん」とか呼ばれます。

――十時さんは今COO(最高執行責任者。最高経営責任者であるCEOに次ぐNo.2のポジション)というお立場ということですが、今のお仕事をご紹介していただけますか。

弊社はメインの事業が2つありまして、1つはECネット通販のコンサルティング事業、もう1つがネイルサロン、美容サロンの事業です。私はどちらかというと、EC事業の統括をしています。メインはネット通販のコンサルタントなんですが、美容の方でもメディアを自分たちで持っていまして、ネイルサロンや美容院、エステサロンの経営、それから、今後独立を考えている技術者さんの支援を一手に担うような事業を担当しています。こちらもEC同様にWebサービスに通じる事業になるので、自分が担当させていただいております。

――EC事業がメインということですが、こちらの会社に入社した経緯を教えていただけますか?

以前は楽天に勤めていました。まさにネット通販の会社ですね。当時も、企業さまの年間の売上を上げるようなスケジュールを立案するなど、売上向上をお手伝いするコンサルタントとして仕事をしていました。

弊社の代表の佐藤がもともとの同僚だったんです。

――社長の佐藤さんとは、大きな楽天さんという会社でもお知り合いだったわけですね。

そうです。彼が代表としてこの会社を立ち上げることになって、その頃から、相談をしたり、させてもらったりしていたんですが、立ち上げの半年後に誘われたんです。

私はもともと負けず嫌いなので、働くなら女性・男性関係なく、その業界で1位になりたいなと思って頑張っていたんです。正直、楽天ではそれをやりきった感じがあったんです。「いつかは独立したいな」という思いもあったんですけれども、一人ではできないところとか、自分の強みと弱みを自覚していたんですね。そんな時に、佐藤から誘いを受け、彼は私とは全く逆のアプローチをできることを知っていたので、私は二番手としてやってみよう、そうしたら絶対に事業を大きくできる、と考えて、転職を決めました。

――楽天さんにいた頃から、代表の佐藤さんとは起業や独立について話していたんですか?

そうですね、1年半くらい同じ空間で仕事をさせていただいて、そんな話はちょくちょくしていました。会社の中でも「この人は独立しそうだな」っていう感じの方と、「ずっとこの会社で働いていくんだろうな」っていう方と、なんとなくわかると思うんです。どちらといえば彼は前者で、私自身もどこかでそういう思いがあったので、自然と話をするようになりました。

――なるほど。いよいよ佐藤様が先に独立なさって、その半年後に十時さんも「私も行こう」という話になったと。ECのコンサルをずっと独立してやっておられて、今EC事業をしつつ、サロン事業も任されていらっしゃる。これはどういう経緯だったのですか?

そうなんです。最初はネイルサロンとか全く関係ない時代がございまして。ひょんなことから、あるネイルサロンの経営者の方と知り合ったんですね。売上もかなり良かったんですが、その方から「ネイルサロンを売却したい」「引退したい」と相談をいただいたんですね。「売却先を探して欲しい」って。

自分たちとしては、その売却先を探すつもりでいたんですけど、「ちょっと新しいこともやってみたい」って思うところもあったんです。それがきっかけで、サロン事業もやることになったんです。

今、実質、ネイルサロンの展開自体は代表の佐藤がやっていますが、Webとシナジーをきかせられる部分に関しては私がやろう、と引き受けました。

――もともと興味はありました? 美容サロンの経営とか、ネイルサロンとか。

いや…、お恥ずかしながら、私、あまり美容院とかに頻度高く通うタイプの女性じゃなくて・・・(笑)。

――そうなんですね!

楽天時代も仕事に夢中で、残業することも多かったので、正直行く時間がなくて。「行ってみたいな」って思いはあったんですけどね。

いざサロンの仕事に携わってみると、前職の経験から、そういうところに行けないOLさんの悩みが当事者としてわかっていたので、その消費者の気持ちやニーズはくみ取れるのかなとか思いまして。ネイルの知識はないんですけど、経営に関しては自分たちがやればできることですし、そこは自分が携わっているWebの領域で展開して行きたいなと思っています。

――ひょんな事からネイルサロンも始まったということですが、立ち上げて一緒に事業されたのは、どれくらい前のことですか?

1年半前のことですね。ネイルの事業を始めたのもちょうどその頃です。

■貪欲に仕事を奪いに行くような人を、今後、どんどん採用していきたい

――少し御社について話を聞かせてください。ECの事業とサロンの事業と、今、どれくらいのメンバー規模で動いていらっしゃるんですか?

WEB事業、ネイル事業含めて、25名ほどメンバーがいます。

――現場で働いている人を含めて、どんな方が多いですか? 共通点とか、いわゆる社風みたいなものあります?

そうですね。意図していたわけではないんですけど、女性が圧倒的に多いです。9割くらいが女性の会社です。その中でも、私みたいに既婚の女性もいれば、子持ちのネイリストさんもいらっしゃいます。全体的には「自分の力で」と言いますか…、私もそういう節があるんですけど、「雇用を保証されたい」というよりは、「どんなところに行っても活躍できる能力を身につけたい」という方が多いなと感じています。

例えば、ネイリストさんはわかりやすく技能的な部分の話になりますが、そういう方が多いですね。

――それは、ECの方でもそうですか? 自立心がある方が多いですか?

そうですね。バックオフィスで働くプログラマーとかデザイナーとかを見てみても、例えば私が指示した仕事をそのままやるスタンスのスタッフはほとんどいなくて。

――受け身の人はほとんどいない?

そうなんです。自分の方から「私は今こういう分野しかできないけど、こういう案件あったら紹介してほしいです」と言ってくれます。そういう意味で、意欲的ですね。成長意欲がある人が多いと感じています。

もちろん、自分たちが採用する時には、技能が高い人材を探してはいるんですけど、貪欲に仕事を奪いに行くような人を、今後もどんどん採用していきたいなと思っています。例えばこの会社がなくなったとしても自分だけで生きていけるぞ、そういう人材に3年以内になるぞ、というような、そういう人と一緒に働きたいですね。

■社員に対して多様なキャリアプランやキャリアパスを見せることがミッション

――十時さん、先ほどさらっとおっしゃったんですけど、ご自身の強みと弱みってどんなふうに認識されていますか?

強みに関しては、本当に負けず嫌いなところがございまして、自分ができないままでいるのが悔しいんですね。なので、そこに関しては誰よりも積極的に勉強しています。

あとは、楽天時代の話になりますが、当時は営業だったんですね。営業ってチームごとに目標数値があるんですが、その数字を達成するための努力を、チームメンバーに対して自分が背中を見せていかなくちゃいけないと考えていまして。そういった意味で、「率先する」っていうところが強みなんじゃないかな、と思っています。

一方、楽天時代には管理職でもあったんですが、指導の面で「相手に完全に任せる」という点は正直弱かったですね。

――任せることが弱い、ということは、つまり、任せられなかった?

そうです。1回任せても見守って成長させてあげるっていうような、ちょっと長い目で人を成長させるってところに自分はネックを感じていまして。今の会社に入ってから、そこは特に気をつけるようにしています。

楽天時代は、今振り返ると、相手のキャリアパスを考えたうえで、上司として部下に選択肢をいろいろと考えてあげて、先を見据えたうえで、目先の目標を与える、仕事を割り振る、ということができていなかったんでしょうね。

自分自身の力をつけると決めて走っていたんですが、他の社員に対して、キャリアプランやキャリアパスを見せることができていなかった。なので、今はこの会社で、女性として二番手で働く中で、積極的に様々な働き方や組織としての受け皿を提示するよう努めているところです。

■女性活躍で会社に必要なのは、キャリアウーマンとしての女性のプライドをちゃんと守れるポストを用意すること

――女性の活躍はこの5年、10年くらいずっと言われてきました。十時さんが思っていらっしゃる「女性の活躍」には何が必要だと思いますか? どんなことができたら、「女性の活躍」は本当の意味で推進されたり実現されたりすると思います?

女性の場合、結婚や出産といった点で、男性よりもライフイベントが多いと思うんです。いろんな会社さんが保障制度とかを作って、出産して育休した後に復帰できるような策を用意していると思うんですけども、実情は「復帰はできる。だけど、適した部署がない、適した事業がないのが現実」だと思っています。

私にはまだ子供はいませんが、前職の経験も含め、いろいろな働き方の女性を見てきました。例えば、出産する前はバリバリ第一線で残業するような部署で働いていて、独身女性と同じ働き方をしていたとします。そういう女性たちは、仕事にプライドがあるから戻ってくるわけです。それなのに、出産前と同じ部署で同じ働き方は、物理的に不可能なんですよね。違う部署に配属されても、なかなか難しい。だからこそ、その人に適したキャリアを、戻ってくるまでに、ちゃんとした「受け皿」として準備した方がいいと思うんです。でも、それができている会社って少ないんじゃないかな。

早く帰れて、保育園のお迎えの時間に帰れる、お給料もいい、そういうのも大事かもしれないですけど、キャリアウーマンとしての女性のプライドをちゃんと守れるポストを用意してあげる、というのが会社にとっては必要かな、と。働くママにとっても、雇い主の企業にとっても、産休・育休制度を設けていても、まだまだジレンマを抱える企業が多いように感じています。

――確かにそうですよね。「言い訳」が始まりますよね。私の周りの友達とかもそうですけど、言いたくて言っている言い訳というよりは、「自分に言い聞かせる言い訳」をせざるを得ない。「私は子供を持つ選択をしたんだから、キャリアの部分では仕方がない」とか、「本当はもっと発揮できるけれど周りの人に迷惑をかけちゃいけない立場だから…、仕方がない」とか。

そうなんですよね。

――女性の話を聞いていると、「自分を言い聞かせているな」って思うことが多いんです。そういった意味では、まだまだキャリアパスとか、「受け皿」というものが足りていないのかもしれませんね。

そうですね。「制度はあってもポストがない」といいますか。

同時に女性も、自分がどういう選択肢を選んでも、例えば、どういう職業を選んでも、絶対に生きていけるといった視点も必要だと思います。

あまり縁起が良くないんですけど、結婚しても、もし離婚してしまったら、それでも自分で生計を立てていけるような能力を自分からつけていかなくてはいけないなと思っています。それが本当の意味でのダイバーシティですよね。女性は自身の選択肢を自分で選べる能力をつけないといけませんし、会社も女性のどんなライフステージでも受け入れられるポストを作らないといけない。そのどちらも必要かなと思っています。

――女性活躍についてご意見をお伺いしましたけど、まさに今、この会社でこの点について具体的に動いていることはありますか?

代表も多分、同じ気持ちだと思うんですけど、せっかくWebと美容というところがありますので、かけ合わせたビジネスを私たちが作っていくことを進めています。もちろん店舗数を展開する、規模を大きくするといったところで、先ほどの働き方のポストを準備することを、急いでやらなくてはいけないなと思っています。

■ネイルサロン事業では、前職の「仕事が忙しくて、サロンに行く時間がない女性」としての経験が活きている

――私は元々頻繁にネイルをしないタイプの女性だったのですが、本当は行きたくても行けない・通えないというのが本音でした。忙しく働いて、それこそ残業している女性が行けるネイルサロンってどれくらいあるんでしょうか? もちろん、早く帰れて、夕方のアフターファイブに行ければベストだと思うんですけど、遅くまで働きたい方もいらっしゃいますよね。

例えば、弊社の運営しているネイルサロンですと、従業員の意見とか売上とかを加味したうえで、若干、営業時間が長いんですよ。同じエリアの同業者さんの店舗が21時までの営業だったら、うちは22時までとか。

それから、弊社では、あえて最終受付時間を明記しています。明記しないサロンさんの方が世の中には実は多いんですね。その時の混み具合によって、最終受付時間が書いてあるのに入れなかったらクレームになっちゃったりするので。でも、うちでは、あえて最終受付時間を明記しています。

――なるほど! 最終受付時刻までに入れば、やってもらえるってことですよね。

そうです。「それまでに会社を出ればいいか」と計算してもらえれば、と思っていまして。

あとは、忙しい女性に、という点で言うと、まだ模索中ですけれども…。私もやっているんですけど、ネイルって、次に新しくつける時には、今のネイルを一度剥がして、それからつけるっていう作業工程があるんです。その時に、今のものを剥がすのにも1時間くらいかかるんですよ。

――えっ、そんなかかるんですか?

かかるんです。

――大変!

早い方だと30分くらい。さらに、つけるのに1時間くらい。

――トータルで2時間コースっていうことですか?

美容院のヘアーカットとは全く比にならないくらいに時間がかかるんです。

――へえー! 知らなかった!

なので、なおさら忙しい女性は行けないと思うんです。でも、例えば「剥がす」、「外す」作業だけランチの1時間に行って、また後日のランチの時間や他の夜の時間に来てもらって「つける、塗る」作業をする。そういう仕組みを考えています。

――確かに。作業は細分化できるってことですね。

そうなんです。郊外ではそれほど需要がないと思うんですけど、例えばここ渋谷とか、オフィス街に関してはそういうサロンが全くないのでニーズはあるかな、と。そういう意味では、前職での消費者としての経験や考えを活かせるかな、と思っています。

――確かに、仕事の合間のランチで1時間抜け出すことはできても、2時間抜け出すっていうことはできないでしょうね。

そうなんですよね。

――なるほど。すごいところに目のつけどころがあるんだな。

すみません。すごい細かい話で(笑)。

事実、ネイルサロンや美容院の経営者さんの多くは、技術者だった方が多いんですよ。こんな感じで違う事業をやっている経営者とか、全く美容関係にいなかった経営者は少ないので、あえて自分たちはネットの知識とかWebの経験を使って、新しいマーケットを構築できればいいなと考えています。

――なるほど。全然分野が違う方がむしろ見方が変わるってことありますもんね。

そうなんですよね。

■欠点としては、「私は男性と同じ働き方をしたい」という気持ちが強すぎるのかも

――ちょっと意地の悪い質問になってしまうんですけど…。もう少し、十時さんご自身の弱みとか、欠点とかをお伺いできますか?

本当に、いっぱいあるんですけれども…。先ほど、話にも出た女性活躍の部分で言えば、自分が男性と同じような働き方をしたいという気持ちがすごく強いので、家庭に入りたい女性の意思をあまり尊重できていない部分があるのかな、と思いますね。

――でも、家庭をもっていらっしゃいますよね?

はい。ただ、共働きなんで。

――そうか。

今後、事業をどんどん展開していって、女性社員が増えてくると思うんです。そうなった時にさっき自分が語ったような理想の働き方、例えば産後のポストとかを先に準備しないといけないと思うんです。思うんですが、自分が男性と同じ働き方をしたい、っていうのが前提にあると、なかなかそこが難しくて。自分の弱みがそこに現れてしまっているかな、と思います。

もちろん残業を強いたりはしないですけれど、仕事をきっちりやらない方には、男女問わずですが、きつくあったってしまうので(笑)、…そういった部分も課題かな、と。

――でもまぁ、お仕事ですからね(笑)。

■学生時代も自分からFacebookでいろんな社長に連絡を取って、会いに行ったりしていた

――学生時代は何を思って、就職活動していらっしゃいました?

実は、もともとは私、心理学を専攻していまして、カウンセラーの道に進みたかったんです。

――そうなんですか! また意外な話が出ましたね。

カウンセラーになりたいと思っていたんですけれど、でも、いろいろと活躍している方を見ているうちに、今の自分の経験値だと、いろんな人の話を聞いてもアドバイスできないんじゃないかっていう恐怖心が生まれまして。カウンセラーって臨床心理士というんですけれど、お医者さんとほぼ同じようなもので、「言葉の処方をする」なんていう言われ方をしています。要するに、自分の言葉1つでその人の人生をかなり左右してしまうんですね。ちょっと極端ですけど、実際の医療現場では、お医者さんのその一言で飛び降り自殺しちゃうような人とかもいらっしゃるんです。そういう話を聞いていて、今の自分ではできないな、と思いまして。

そういったことを考える中で、次に、社会人になったら、いろんな業種の方にお会いできる仕事にまず就きたいなと思ったんですね。

――人に会ってみたい、人と接してみたい、と。「人」が先だったんですね。

実際に、学生時代も自分からFacebookでいろんな社長に連絡して、会いに行ったりしていました。その内に、「あ! 私も経営者になりたい!」っていうような思いを抱くようになりまして。恥ずかしい話ですけど、そうこうしていたら、全くカウンセラーの夢はなくなりまして。

――Facebookを通じて「会いに行きたいです」って言って、社長さんに会いに行っていたんですか?

お会いしてくださる方だけですけどね(笑)。

もともとカウンセラーを目指していた部分と関連するかもしれないんですが、教育関係にも興味がありまして。ゲーム性がある教科書とかにも興味があったんですね。

他にも、例えばAKBとかファイナルファンタジーとかに夢中になる方がいるじゃないですか。そういった「オタク」の方も夢中になれる教育のツールを作りたいと思っていまして。最近だと『脳トレ』がそれに当てはまると思うんですけど、そういった教材で、かつ学校に導入できるサービスを作りたかったんですね。

――また、いろんな分野に興味がありますね。

そうなんですよね(笑)。そこでゲーム会社の社長さんとか、そういう教育とゲームをかけあわせた事業を立ち上げている会社の方に連絡して、実際に会いに行って、「何でこの事業やりだしたんですか?」ってインタビューをしてみたりして。今思えば、失礼なケースもあったと思うんですけど。

――それは個人の活動ですよね? 就職活動としても、そういうことをなさっていたんでしょうか?

そうですね。これは弱みな部分かもしれないですけど、自分がやりたいと思ったことはとことん突き詰めたいんですけれど、やりたくないことや興味がないことに関しては時間を割けない人間なんですね。もちろん、他の皆と一緒に就職活動する時に就活サイトとかで何百社にエントリーは出すんですけれども、例え応募先が大手の企業さんだったとしても、興味がないって思ったら、速攻、キャンセルしちゃって(笑)。

――「さよならー」って?(笑)

はい(笑)。

――好きか嫌いか、興味あるかないかが、はっきりしていらっしゃるんですね。

そうですね。だからこそ、私の就職活動に関しては、周りは心配だったみたいですけどね(苦笑)。

■新卒で内定をもらった楽天には、とにかく人事の担当者に思っていることを全部ぶつけた

――その中でも、楽天に入社しようと思ったのは、どういう経緯だったんですか?

自分がやりたいといった、先ほどの教育の事業は楽天の中にないですし、スタートアップの話すらもなかったんですけれど、とりあえずぶつけてみようと思ったんですよね。グループ面談の時は当たりさわりのないことを言って、その後の個人面談の時に、人事の担当の方に考えていること、思っていることを全部ぶつけたんですよ。楽天って何でもやっている会社なので、言ったらどうにかしてくれるんじゃないかと思って(笑)。

――すごいですね。ぶつけたんですね! どう返されました?

「できなくはない」みたいなことを言われて。私が出世して、楽天の中でキャリアを築けば、できなくはないよ、と。最終面接の時だったか、「内定通知書をもらうだけだから10分で終るよ」って周りの皆が言うような場があったんですけど、私はその話をしていた人事の方と、どういうわけか2時間くらい討論をすることになったんですね。「もっと具体的に聞きたい」「何故、そんなことを考えついたのかを教えてほしい」と言われて、さらに「何故、楽天を受けたのか」なんてことも2時間くらい語り合って。多分、その人事の方は熱血漢だったんでしょうね(笑)。その時に、「楽天って、こういう社員の方が多いんじゃないか」って思ったんですね。自分のやりたいと手を挙げたことをちゃんと聞いてくれて、方法や方向を一緒に話してくれる社員が多いんじゃないかなと思って。それで、楽天に決めたんですよね。

■「早く家に帰って、旦那さんのご飯を作りたい」みたいな女性の気持ちはいまいち理解できなかった

――ちょっとプライベートのこともお伺したいんですけど。仕事をばりばりされていらっしゃるんだろうな、と先ほど、初対面でも、そういう印象を抱いたんですが、プライベートの十時さんはどういう方ですか?

一言で言うと、「ダメ女」ですかね(笑)。

今は違うんですけど、以前は土日も働いてしまって、オンとオフの切り替えが上手く行かない人間でした。先ほど美容の話をさせていただいたんですけれども、美容院にカラーリングに行くのも、自分のためというよりは、仕事の営業のため。「そろそろ行かないとな」っていう感じだったんですよね。

――それはお客さんと対面で話すことを想定して、「そろそろ髪をきれいにしよう」とか、「色を変えよう」とか。あくまでも仕事が軸なんですね。

正直なところ、そうなんです。家事も全くせず、いつも仕事終わりにどこかに飲みに行って。本当に、毎日、飲みに行って(笑)。だから、「早く家に帰って、旦那さんのご飯を作りたい」みたいな女性の気持ちはいまいち理解できていないところがあったのかな、と思っています。

――結婚されてどうですか? 変わりました?

そうですね。結婚する前から主人にはその話をしていたので、正直に言えば、変わっていないですね(笑)。

――今も仕事帰りにどこかで飲んで帰る?

そうですね。主人も独立しているので、一緒にどこかでご飯を食べて帰ることが多いですね。

――でも、「家でシチューを温めて待っている女性」が必ずしも、旦那さんにとっての「いい奥さん」とは限らないですよね。価値観がそれぞれ違うじゃないですか。一緒に外食して、美味しいワインを飲んで、「美味しいね」って言って帰るのがいいね、っていう夫婦だったら、それはそのお2人の選ぶ幸せですもんね。

■「実はもともと、ちょっとオタク気質なところもあります」

――ちょっと質問の切り口を変えますが、今までの人生で、「これに関しては、お金を費やしたな」みたいなものって、何かあったりします?

結構、多趣味なんですけれども、1つは、今の会社に入る前にWebのプログラミングのスクールに通っていまして、その時はお金を費やしたかな、と思います。

――それは仕事に必要だから通ったんですか? それとも興味があったんですか?

どちらも、ですかね。実は、もともとオタク気質なところもありまして。アプリケーションを作りたいな、と思ったんですよね。そのためにパソコンも買いに行ったので、その方面にはお金は使っているかもしれないですね。

あとは、先ほどの話にもあったんですけど、毎日、飲みに行っていたので、お酒にはお金をかなり使っていると思いますね。

ちなみに、いつかは、私、飲食店もやりたいなと思っているんですけど。

――夢がいっぱいですね(笑)。素敵です。

■「ネイリストとして活躍した経験があるからこそ、こんな仕事もできるんだよ」って、そういった仕事をどんどん準備していきたい

――今後、会社を大きくしていく中で、こんなことができたらいいなって思うことを教えてもらえますか?

やはり女性の、特に美容関係の女性の働き方として、先ほどもお伝えした「働き方の受け皿」をどんどん増やして、展開していきたいなと思っています。具体的には、今、弊社では、ネイルサロンの出店を50店舗まで増やそうと目標を掲げているんですね。海外展開とかも一応考えていまして。多分、全く文化も違うと思いますけれども、海外の女性の働き方改革を見据えて、そこの「受け皿」もちゃんと作れる会社にしたいと思っています。

理想なんですけれども、「スタイリストに入れば、先のキャリアパスがあるから、将来安定だろう」って思われたらいいですね。「安定」かどうかは本人次第だとは思うんですけど、そこの「受け皿」がちゃんとある会社に、いち早くしたいなと考えています。

――業界について私はそんなに詳しくはないんですが、美容業界って現場の仕事が多いと思うんですね。先ほどおっしゃったように、最終受付が22時だとしたら、従業員は23時まで働くこともあると思うんです。一般的によく言われることだと思うんですが、「若いうちはできる」なんて言葉はよく聞きますよね。例えば20代の前半だったら、そういう現場でいろいろとスキルを磨きつつ、それを技術として提供できる。でも、30歳になって、それこそ子供ができたり、結婚したり、親の介護が始まったり…、人生っていろいろあるじゃないですか。そんな時に、現場の仕事にプラスして、その先に例えば本部ではITの事業ってものがあるよ、っていう選択肢がある方が、女性にとっては働くうえで、安心材料になるものなんでしょうか?

そうですね。EC事業はちょっと脇に置いてお話ししますが…。美容事業でいえば例えば今後は出店を進めていくので、エリアマネージャーとかになって本社に働いてもらうことが可能です。あと開店、出店も2~3店舗を同時に進めていくこともあるので、その時の物件を探すマネージャーになるっていう選択肢も出てくると思うんです。そうすれば必ずしも現場で遅くまで働かなくていいんですよね。

また、先ほどメディアもやっています、とお話ししたんですけど、「サロンを開業したい」っていう方のコンサルを担うこともあるんですが、売上の相談に関しては経営の視点も必要なんですけど、半分以上は現場の経験やナレッジが必要となるので、そういった経験を活かして働いていただくことが可能になるんじゃないかな、と思っています。

――現場でプレイヤーとしてキャリアを積んだ後、今度はそのナレッジを活かして、働く時間帯とか働き方とかを変えて、まだまだその次のステージで活躍できるところがあると安心ですよね。きっと、「私、ずっとこのまま、現場なのかしら」って漠然と不安を抱いているのって辛いと思うんですよね。私自身、サービス業出身なんですけど、やっぱりそういう不安を抱えて、結果的に業界を離れていく人を見てきたので、「そのキャリアの先のステージも、この会社では確保されているよ」とか、あるいは「こういったパスがあるよ」と提示されているだけで、「それなら私も、そろそろ次のキャリアステージを考えようかな」って希望を持てると思うんですよね。そういった選択肢が広がるといいだろうな、ってお話を伺っていて思いました。

ネイリストとして活躍した経験があるからこそ、こんな仕事もできるんだよって、そういった仕事をどんどん私たちが準備していきたいなと思っています。

■LGBTやトランスジェンダーの方も、その視点や切り口を強みにしてもいいのではないか

――もう少し、突っ込んで聞いてもいいですか? 私が最近、知り合ってお話をしている学生の中に、いわゆる”トランスジェンダー”の人がいるんですね。LGBTなどのマイノリティの中の”トランスジェンダー”と言われる方々です。こういう方々の受け入れ、あるいは、採用っていうのは、どう考えていますか?

会社として、というより、私個人の意見としては、全く関係ないのかな、と思うんです。自分の友人にもそういう方がいるんですけど、変な話、その方々が見ている視点って、他の人たちの見ている視点とは全く違うと思っていまして。例えば、商品を売るWEBページを作っている時でも、もし仮にデザイナーでトランスジェンダーの方がいたら、消費者の立場としても他の皆とは違う切り口を持っているかもしれないですよね。なので、そういうところをどんどん活かしてくれればいいのかなって思っています。今、うちの会社にはまだいないですけど、逆にそういう点で他の人が見えない部分を補いますよ、と、そうやってご自身の強みにしていってもらえるといいのかな、と。これは個人的な意見ですが、思います。

正直、余談なんですけど、トランスジェンダーの方、あるいは、夜のお仕事で、新宿二丁目で商売をなさっている方も、うちのネイルサロンのお客さまには多いんですね。

――やっぱり! 例えば、メークアップアーティストとかってゲイの人も多く活躍していますよね。ドラッグクイーンとかも女性以上に「女らしさ」みたいなものをデフォルメしていくと、ネイルがすごく奇抜だったり、魅力的だったりします。きっと、女性が考える以上に、鮮やかな色の使い方とかが上手かったりとかするのかな、と。そういう人たちって、このサロンに行くのかな?って考えた時に、「あ、うちのサロン、LGBTも働いていますよ」ってなったら、通いやすくなるお客さんもいるのかな、と思ったんです。「うちのネイリスト、女性も男性も、そうじゃない人も活躍もしているし、お客さんもいろいろな人がいますよ」って言えるなら、本当の意味で、ダイバーシティは推進されるんじゃないかな、とお話を伺っていて、思ったんですよね。

おっしゃるとおりで、ドラッグクイーンの方なんかは、かなり鮮やかな色とか、いろんなパーツとかを付けたがる方が多いですね。女性以上に美しく指を長く見せたいっていうようなご要望もあります。

ネイルには、スカルプチュアといいまして爪の長さをつくりだす技術があるんです。実は、一般的に、それができるネイリストとできないネイリストとに分かれているんですが、弊社のサロンで勤務するネイリストは、全員できるんですね。きっと、そういうところもあって多分そういうお客さんがいっぱい来てくださっていると思うんです。なので、変な話ですが、その新宿二丁目の店舗なら、そういったマイノリティの方専用のサロンにしてもいいのかな、と思っていまして。そういう興味のある方にも働いてもらって、どんどん店長やマネージャーを務めてもらいたいな、って思いますね。私たちにも新しいアイディアを教えていただきたいです。

■「長く安心して働ける会社」と思ってもらえるために、企業側の努力は惜しまない

――今後、どんな人材に応募してもらいたい、と考えていらっしゃいますか? あるいは、そんな求職者の皆さんに、何かメッセージがあればお願いいたします。

長く安心して働ける会社っていうのはもちろん大事ですし、社保に入っているとか、土日勤務がないだとか、そういった条件を選べるっていうのも、企業側の努力次第だと思っているので、それを準備するのが私たちの仕事だと思っています。一方で、先ほども「自立心が強い人がほしい」とお話ししたとおり、例え会社がどんな方向にいっても、「美容に関することならば、自分自身で働ける力を持つ」あるいは「持ちたい」という方に来ていただきたいと思っています。

また、実は美容業界で社会保険に入っているのは本当に一握りって言われているんですね。入らなければいけなくて、それは企業側の努力の問題であり義務でもあるんですけど、多くの場合、ないがしろにされてしまっていることも多い。そういう点では、弊社はしっかりやっていますよっていうことも伝えていきたいですね。

――そこら辺って、もしかしたらまだ社会に出ていない学生って、気づきにくいのかもしれませんね。

そうなんです。ただ意外と、皆さん、入った後に「社保に入ってない」って気づく方も多いみたいで、入ってから気にする学生さんも多いみたいです。

――確かにそうか。入る時はそんなことまで考えずに入るけど、入った後に「あれ?」って気づくってことですよね。

そうなんです。たったそれだけで離職につながってしまうのはもったいないと思いますので。そこは企業として努力していきたいなと思っています。

■プライベートの夢としては、夫婦で何か一緒にビジネスをできたらいい

――これを最後の質問にしますけど、今後、プライベートでこうなっていきたいという夢や目標はありますか?

今の会社は絶対に大きくしたいですけれども、ゆくゆくは主人も起業しているので、主人と一緒に何かビジネスをできたらと思っています。

――差し支えなければ。ご主人は今、どんなの仕事をしていらっしゃるんですか?

主人も楽天出身なんですけど、全く違う仕事をしていまして。絵画とか、アートとかの投資をしています。

――楽天ってすごい会社ですね。

いや、主人の場合は、ちょっと変わっているんです(笑)。

――いいですね! ご夫婦で一緒にビジネス! 先ほど、楽天時代は土日も働いていて、オンとオフが上手く切り替えられなかったとおっしゃったんですが、切り替える必要がなかったのかもしれないですね。好きなことをしていて、それが仕事だろうがプライベートだろうが、一緒にやる人が旦那さんだろうが仕事のパートナーだろうが、あまり気にしていらっしゃらない。そういう働き方やキャリア、選択肢もあるんだよ、と、学生や求職者に伝わったらいいな、ってお話を伺っていて、思いました。

そういう意味では「ダメ女」っていう表現をしましたけど、やっぱり私は、あまり女性らしくないな、と。女性らしい部分が少ないな、って思うんですよね(苦笑)。

――いえ、そここそが十時さんの魅力で、素敵だなと感じたところです。きっと、そういう「ダメ女」って自分のことを表現しながら、仕事もプライベートも楽しむ女性が増えていくことと思います。

本当に、そうだといいですね。

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