笑っても悩んでも24時間。それなら笑った方がいい | らしく

  • 林先鏢

笑っても悩んでも24時間。それなら笑った方がいい

今回は、1か月前に新しい現場で責任者の立場に就いたばかりの林先鏢さんにお話しを伺いました。「数か月前に娘が生まれたばかりなんですよ」と嬉しそうに語る彼が、どんなことがあっても、いつもニコニコ笑顔を絶やさない理由とは。グローバルを見据えて、日本企業に就職した林さんの目に映る日本の職場の興味深い文化や魅力をおうかがいしました。
インタビュー実施日:2018年1月16日(らしくインタビュアー渡辺)

■まさに今、店長になって1か月経ったところ

――今の仕事を教えてもらえますか?

去年、2017年12月に異動になって、初めて店長になりました。店長になって1か月経ったところです。新しく配属になった店舗の状況について、ちょっとずつ把握できてきたところです。前の店と規模もレイアウトも色々と違うので、まずはオペレーションを覚えていって、新しい環境に慣らしているところです。これから店長として「数字」的な話も考えていかなくちゃいけない感じです。

日々よくあるのは、自分が無意識で今までの店のやり方でやっていて、新しい店の従業員に「店長、これはここではこうじゃないですよ」って言われるんです。「あ、そうなんだ」「それも違うんだ」って気づかされることが本当に多いです。従業員の皆に、ひとつひとつ教えてもらっています。

――この会社に入って、何年目ですか?

3年目です。この4月で4年目になります。

――失礼ですが、今、おいくつですか?

今、28歳です。3年前なので、25歳の時に入社しました。それまでは学生でした。

僕は中国の大学も通っていて、それを中退して、日本に来ました。日本の大学に入る前に、日本語学校で2年間、日本語を学んでいました。その後、日本の大学に入って、3年生の時に、普通の日本人の大学生みたいに就職活動をして、今の会社を選びました。

■日本に来たきっかけは「大学入試に失敗したから」

――中国で生まれて、中国で育ったんですよね?

そうです。福建省で生まれて育ちました。

――日本に来ると決めたのはいつの話ですか?

高校3年生の時です。高校3年生になると、中国でも日本みたいに大学への入試があるんですね。そこで失敗してしまったんです。行きたい大学に行けなかった。で、もう一回、自分の人生にチャンスを、と思って、留学として日本に来ました。

――もともと日本に来たかったんですか?

「日本に行ってみようかな」とは思っていました。周りの人も留学する人が多かったんですね。行き先は日本やオーストラリアだったりするんですけど。

小さい頃、日本のアニメが好きだったので、「一度、日本には行ってみたいな」と思っていました。その頃は、留学というよりは旅行のイメージでしたけどね。大学入試に失敗したタイミングで、「それならば、日本の大学に行って、自分の人生にもう一度チャレンジしてみよう」と思って、留学という方法を選びました。18歳の頃のことですね。

――先ほど、中国の大学を中退した、とおっしゃいましたが、それは日本に来るためだったんですか?

日本は4月から新しい学年が始まりますよね。中国は9月なんです。留学手続きはしたものの、必ずしも入学ができるわけではないので、日本に行けなかったら、そのまま中国の大学に通おうと思っていました。日本の学校にも申請しながら中国の大学にも籍を置いていた、という感じです。

その後、2009年の1月に日本の学校から入学できると合格の連絡が来たので、9月に入学した中国の大学を中退しました。

■日本に来た時は自分の名前の読み方さえ分からなかった

――こうして話していると、とても流ちょうに日本語でお話しになるんですが、当初は日本語を学ぶのに苦労しました?

最初は大変でした。皆、留学する前に、行く先の国の言語を勉強するんですよね。日本でいえば、「せめて平仮名とカタカナは覚えていかないといけない」というが他の皆の認識です。

でも僕は日本に来る前に、まったく日本語を勉強しなかったんです。日本に来て2日目に、在留カードを作らなければいけなくて、役所に行ったんですね。そこで、職員に「名前は何ですか」って訊かれた瞬間に、「日本の読み方で、自分の名前は何だっけ」っていう感じでした(笑) それくらい、さっぱりわからない状態で日本に来たので、正直、最初は大変でした。

――2年間の日本語学校に通っていた時は、周りには中国から来ている仲間もいた?

日本語学校なので、日本語を勉強する外国人がいっぱいいましたね。中国人もいましたけど、ドイツとか、オーストラリアとか、色々な国から来ている人がいました。

――日本の大学に入学する時は、何を学ぼうと思われていたんですか?

高校の時、理系が得意だったんです。だから、その方面に進もうかな、と思っていたんですけど、日本の理系の大学って学費が高いんですよ(笑) 願書を出さなくてはいけないので、とある大学に行ってみたら、「学費が年間これくらいかかります」って言われて、「それはやばいな」って思ったんですね(笑)。それで文系にしよう、と進路を変えました。

たまたま、そんな時に、日本語学校の先生に「学費がそんなに高くなくて、いい大学があるんだけど、紹介しましょうか」って声をかけてもらって、文系の学校に進みました。

――そこでは何を勉強していたんですか?

英語です。せっかく日本に来たわけだし、僕自身が日本と中国の橋渡しの役目を果たせるようになれればいいな、と思ったんですね。経営学や経済学もあるけれど、何よりも言語って「できない」よりは「できる」方が絶対にいいと思ったんですよね。国際化、グローバル化が進む今の時代、中国と日本だけでは足りないかな、とも思ったので「英語もできた方がいいだろう」と思って、専攻を選んだんです。

■会社を選んだ理由は、国際化する世の中での未来性

――今の会社に入ろうと思ったきっかけは何かあったんですか?

まずは「イオン」のグループ会社っていうことですね。先ほどの話にもありますけど、国際化が進んでいく中で、イオングループもグローバルに進出してくだろうと思って、今の会社はまだまだ小さいけど未来性があるなと思ったんですね。

あとは大学時代に、飲食のバイトをしていたので、自分なりにこの業界に向いているんじゃないかな、と思ったのも、この会社、この業界を選んだ理由です。

――中国では「イオン」って有名ですか?

今はまだ知っている人は少ないですね。イオンモールはあることにはあるんですが、北京とか大きい都市にしかないんですね。まだまだ少なくて、普及していないんです。だからこそ、これからの未来性があるかなと考えています。

――飲食業でアルバイトしていて、「好きだな」って思ったんですか?

好きですね。キッチンで働いていた時は、自分が作った料理を、お客さんが召し上がって、何も乗っていない、きれいなお皿が返ってくるのが嬉しくて、達成感があったんですね。

あとは、たまたま、昔働いていた居酒屋は、お客さまがトイレに行く時に、厨房の脇を通らなければいけなかったんですよ。ある時、自分がチャーハンを作っていたら、その姿を見ていたお客さんから「お前がチャーハンが作ってるの」って訊かれて、「はい、私が作っています」って答えたら、「結構うまいよ」って言われたんですね。そのお客さんは常連さんだったんですけど、単純に嬉しかったですね。

――今の会社に入って…現場で働き始めたんですよね?

社員なので、全部やらなくちゃいけないですね。調理もするし、接客もするし、レジもやるし、すべてですね。

昔はアルバイトだったので、キッチン担当なら、キッチンのことだけ考えればよかったんですよね。入社してからは社員という立場なので、オペレーションだけじゃダメですよね。社員の仕事は管理業務、というのが最初はわからなくて、最初は正直なかなか慣れませんでした。

「自分がガンガン動くんじゃなくて、皆に指示を出して、動いてもらうことがあなたの仕事ですよ」と最初の店長に言われました。

――どれくらいで慣れたんですか?

最初は無意識に、「あ、ここは人が足りない。自分が入ろう」って思って自分で動いてしまっていたんです。何度も何度も「自分が動くんじゃなくて、自分は店の全体を見て、司令官みたいに指示を出すのが社員の仕事!」って言われ続けて、1年くらいでやっと慣れたっていう感じですね。

――日本の会社に入社するっていうことに不安はありませんでしたか?

ありました。日本人とのコミュニケーションに不安を覚えていましたね。

大学では英語を学んでいた、と言いましたが、専攻したのは「国際コミュニケーション」という学部だったんですね。色々な国の文化や価値観について勉強していたので、会社に入る前に、自分の価値観と日本人の価値観っていうのは絶対に違うなっていうのは、わかっていたんです。

日本人の従業員の皆さんとコミュニケーションをとるためには、話しかけようと思っても、何を話せばいいのかな、っていうのが分からなかったですね。

――言葉の壁は大丈夫でした?

そうですね。日本語学校にも通っていたので、言語については困ってはいなかったですね。どちらかと言うと、「初めて社内人になる」っていうことに不安を抱いていた気がします。

林先鏢さんが勤務するのは・・・
株式会社イオンイーハート
株式会社イオンイーハート 採用ページ

■飲み会の翌日の上司の素っ気なさにショックを受けた

――日本の会社に入って驚いたことってありますか?

あります! 最初の頃の話ですが、歓迎会を開いてもらったんです。その飲み会の場で、一緒に店長と飲んで、「仲良くなれた!」って思えたんですね。でも、翌日、職場に行くと、仏頂面の店長がいる。その前の夜とは全然違うんです。「あれ? 昨日、仲良くなったはずなのにな」って驚きました。

慣れた今、よく考えると、「仕事は仕事、プライベートはプライベート」って分けた方がいいんでしょうけど、当初はビックリして、ショックでしたね。「なんで、今日は全然違う雰囲気で、指摘ばかりされるんだろう」って。

――昨日は一緒に楽しく飲んだのにな、っていうギャップですよね。それはその時の店長だけですか? それとも、その後の店長もそういう人が多かった?

皆、大体、そんな感じでしたね。日本はそうじゃないですか?

――どうでしょう。中国では、そういうことはない?

中国では、プライベートで仲良くなったら、そのまま仕事に関係性が反映されるのが普通ですね。だから、「昨日、一緒にお酒を飲んで、楽しく一緒に帰ったのに、おかしいな」って思っていました。

■「海外出身」のロールモデルとして思うこと

――同期には外国出身の方はいらしたんですか?

僕と一緒に入社した代には、もう一人の中国人がいます。

――ああ、そうなんですね! では、相談できる同期がいたんですね。

そうですね。細かいことでわからないこととか、どうしても日本人との価値観でわからない部分については、「僕はこうした方がいいと思うけど、日本人はこうした方がいいみたい」というようなことを、同じ中国人同士で相談し合っていました。「こんなことがあったんだけど、あなただったら、どうする?」って訊くこともしていましたね。

――先輩や上司の立場で、同じく中国出身の方はいました? 相談はしていました?

現場ではないですが、社歴の長い先輩がいます。この会社にもう10年以上いる方ですね。ただ、現場にはいないので、あまり相談はしなかったですね。

――後輩ではいかがですか? 海外や中国からの新入社員は入ってきていますか?

僕の次の代にも、中国人の新入社員が3人入ってきましたね。その次の代、今年の新入社員にも1人いるみたいです。どうやら僕の大学の後輩みたいなんです。

去年の3月に、母校に就活説明会の手伝いに行ったんですけど、たまたまその中国人の学生の相談に乗ったんです。悩んでいるみたいだったんですよね。その時、「僕の会社はこんな会社だよ」って話をしたんですよね。その後、人事から「あの時の後輩の子、うちの会社の選考に来てるよ」って教えてもらって、「そうなんだ」って感じですね。

――林さんがまさに中国人社員のロールモデルみたいな立場だと思うですね。後輩から相談されることも多いんじゃないですか?

そうですね。「何かあったら」と思って、皆でSNSのグループをつくったんです。今はまだ中国人しかいないですけどね。皆、そこで相談したりはしますね。

――皆が悩んだり、ショックを受けたりするところが、理解できたりする?

そうですね。自分がそういう感じで悩んだり、ショックを受けたりしてきたから、後輩たちも大体、同じような壁にぶつかるだろうと分かる部分も多いですね。「自分は当時、どんな感じで乗り越えたかな」というのを思い出して、参考になればいいな、って思って、話をすることもありますね。

基本的には、日本に慣れないといけない。僕は、そう思っています。でも、仕事の中で、どうしても周りが理解してくれない、っていう場面は多々あるんですよ。日本人と中国人の考え方が違うこともある。そういう時に、後輩たちが頼ってくれるといいな、って思って、SNSグループを作ったんですよね。

皆、シフトで働いているから、集まることもなかなかできない。普段は各地で、自分の店で、自分の生活で頑張っている。でも、何かあって悩んだ時には、相談できる相手がいないと感じた時に、僕が相談役になりたい。相談に乗りたい。やっぱり「仲間」ってほしいじゃないですか。僕も最初はそうだった。全く違うところに来ているからね。でも、前に進むためには、そこから出ていかないといけないのも事実です。

■「何かあった時につながっている」と思えることが大事

――それはもともと学生の頃から考えていたことですか?

僕の通っていた大学では、1000人くらいの新入生の中、外国人って30人くらいしかいないんですよ。あえて少ないところに行ったんです。日本の大学でも、中国人が多いところもあるんですよ。でも、日本に長くいるためには、日本に慣れなくちゃいけない。それなら、中国人の集まりから出て行って、日本人の集まりに入らないといけないな、って思って、そういう大学を選んだんです。

だから、SNSのグループの話に戻るけど、普段は賑やかなグループではないんです。普段はそんなにやりとりはしないけど、「何かあった時につながっている」っていうくらいの存在でいいんじゃないかな、と思いますね。いざ悩んだ時に思い出してくれるといいな、と思います。

■日本人は「様子見ようか」が好き

――先ほどの飲み会の翌日の話って、私、とても面白いなって思ったんですけど、他にも外国人が驚くような日本人の独特の立ち居振る舞いってありますか?

日本人の曖昧な言い方ですかね。上司に「これ、やりますか? やりませんか?」って答えを求める時、上司の返事をずっと聞いていても「結局、やるの? やらないの?」っていうのがわからない(笑)。そこははっきり「はい」か「いいえ」を言えばいいのに、部下の立場では、ずっと話を聞いていなくちゃいけない。でも、答えは分からない(笑)。

――あー、それはよくわかります(笑) 私もアメリカで育った時代があるので、「イエスなの? ノーなの?」っていうのをハッキリ知りたいんですけど、日本人の多くは曖昧にして、どっちかわからない回答をしますよね。

最初の上司は、「自分で考えて決めてほしい」って思っていたんだと思うですよね。はっきり答えを出すより、理屈や理由を教えて、「この先は林君が自分で決めてね」っていう感じだったんだと思います。多分、そう願っていたんでしょうね。

でも、曖昧に話す日本人は、他にもとても多いので、外国人は不思議に感じると思いますね。

――私は日本人ですけど、どこの組織でも「様子見ながらやっていくんじゃないですか」っていうのが多い(笑)。

そうです! 色々と提案して、「この時期にこういうことをやりたい」と言っても、「もうちょっと様子見ようか」ってよく言われますね。日本人は「様子見ようか」が好きですよね! それで結局、やるのか、やらないのかが、分からなくなっちゃいますね。

■入社後、安心して働けたのは、本社社員との面談があったから

――ちょっと嫌な質問かもしれませんが、逆に日本と中国の文化を比べた時に、「日本のここが好き」っていうのは何かありますか?

自分が働く中で感じたことですが… 上司からよく怒られるんですね。ただ、怒られても、ちゃんとどこが間違っている、どう間違っている、次はどうした方がいい、っていうアドバイスをくれる。そういうフィードバックをくれるところはいいですね。中国では「間違っているよ。何で間違えたの? 次は間違えないようにして」っていう指摘で終わってしまうと思います。

きっと日本の会社は「社員を育てていく」というのが大事だと思います。中国はそのあたりは弱いかなと感じるんですね。

中国の考え方では、教えるのは先生の役割なんですよ。会社に入って給料を払われているなら、「できるよね」っていう感じです。「できないなら、給料を払わないよ」っていうスタンスです。だから、組織も「育てるより、普通に働いてもらわないといけない」っていうのが中国の考えなんですよね。

――日本の多くの組織は「育成」を前提にしてますもんね。

うちの会社では、新入社員の時、1か月、2か月に1回は研修があるんですよね。それはいいな、と思いました。最初、色々と分からなかったから研修も助かりましたし、本社の社員との面談もあったので、安心して働きやすいって感じることができました。

■全国転勤は色々なところに行けるから嬉しい

――日本に最初に来た時は、東京に来たんですか?

横浜です。横浜で日本語学校に通っていました。

――大学はどちらですか?

千葉です。

――この会社に入って、最初の配属は?

京都です。最初は京都に行きました。一昨年、名古屋に新しい店ができて、京都からそこに配属になりました。そこには1年くらいいました。昨年の12月の異動で、今は同じ名古屋の違う店舗に配属になりました。

――結構、日本の色々なところに行っているんですね!

そうですね。関東にいた時は、千葉も埼玉も神奈川も、もちろん東京にも遊びに行きましたし、会社に入ってからは京都に1年半… 京都は、遊ぶにはとてもいいところですよね!(笑) 京都だけでなく、大阪、神戸、奈良にも出かけられるので満喫しました。

全国転勤って、日本人にとっては負担かもしれないですけど、僕にとっては色々な地域に行けるのは嬉しいですね。転勤が多いのはいいと思いました。色々な土地で、色々な日本人と接することができて楽しいです。

■昨年、娘が生まれました!

――ご家族についても訊いていいですか? 結婚していますか?

結婚しています。

――あら! 相手は中国の方?

中国の人です。20歳の頃に中国で出会いました。

――プライベートなことをお伺いしますが、それからずっと付き合っていたんですか? 林さんが日本に来てからも?

そうです。でも大学生だったので休みも多かったので、日本に来てからも年に6回くらい帰って会っていました。実は学生の内に、会社に入る前に結婚はしていたんですけど、2人で日本で暮らすのは経済的に厳しかったんですね。なので、入社した後に会社に申請を出して、妻にも中国から日本に来てもらいました。京都で一緒に暮らして、大阪とか神戸とか奈良とかには、一緒に遊びに行きました。

――ちなみに、お子さんは?

今、4か月の娘がいます。

――あ、そうなんですね。おめでとうございます! 12月に異動もあって…本当に忙しい年末年始だったんですね!

そうですね(笑) 名古屋に来て、すぐに妊娠が分かったので、残念ながら名古屋ではまだ遊べていないですね(笑)。

――林さんにとって、「家族」って何ですか?

「仕事に対する動力」ですね。

――なるほど。お嬢さんもお生まれになったら、そうですよね!

■笑っても悩んでも同じ24時間。それなら笑った方がいい

――林さんは、周りの人には、どんな風に見られていると思いますか?

いつもニコニコ・・・ニヤニヤしているから、周りの人からは「あなたって悩んでいることあるの?」「何も考えていなさそうだね」とか言われますね。「楽観的な人だな」って思われているんだと思います。年末年始とかも忙しかったんですが、周りの従業員は疲れている顔をしていて、僕は笑っていて、皆に「店長、余裕だね」とか言われますね。余裕じゃないんですよ!(笑) でも、笑っても泣いても時間が経つから、それなら笑った方がいいですよね。

――今、サラッとすごくいいことをおっしゃったと思うんですけど、確かにそうですよね。

1日24時間じゃないですか。笑っても24時間、悩んでも24時間。同じじゃないですか。自分にたくさん負担をかけても、24時間。問題は悩んで解決できるわけじゃないから、だったら笑った方がいいと思うんですよね。

――それは小さい頃からの性格ですか?

そうですね。ずっとニコニコしていたと思いますね。

――それは、ご両親の教えではない?

教えられたわけではないですね。だから、子どもの頃は「なんで、この子、ずっと笑っているの」って言われて、「この子はバカなんじゃない?」とか言われていましたね(笑) 他にも「感情がわからない」とか「考えていない」とか、そんなことも周りには言われていましたね。

――そんな風に言われて、「ええ?」「そんなことないのに」とかって不服には思わない?

思いますけど… 知り合って時間が経てば、どういう人間かわかってもらえるじゃないですか。普段、あまり付き合いのない人に説明してもわかってもらえないと思うし、説明する必要もないと思うんですね。自分のことをよく知っている人が時間の経過とともに「こういう人なんだな」って分かってくれれば、それでいいかな、と思うんです。最初は確かに「なんで、バカじゃないのに、バカって言われるんだろう」って納得いかなかったですけどね。

――素敵ですね! そういう考え方、生き方は羨ましいです。とってもシンプルですよね。

■指摘はとても難しい。まずは褒めることを心がけている

――以前、他の中国の方にインタビューした際に、「日本人はすぐに物事を複雑にしたがる」っておっしゃっていたんですよね。先ほどの「曖昧が多い」ということにもつながるんですが、中国の方がシンプルに「これっていいよね」「これって良くないよね。じゃぁ、直そう」って言うのとは、日本では仕事や決めごとのスピードが違うって。

そうですね。それは僕もそう思います。日本人はバッとそのままストレートに意見すると、傷つけてしまう、って思うんですよね。日本人は相手を傷つけたくないから、問題や事態を複雑にしていって、言い方を柔らかくして、様子を見ていく(笑)。

でも、事態を複雑にして曖昧にしてしまうと「自分が言いたいこと、分かってるの?」と不安になってしまう。それよりは、言いたいことをストレートにシンプルに言った方が自分のためにも相手のためにもいいと思うんですよね。

――特に、仕事だったら、そうですよね。仕事は前に進めなくちゃいけないですもんね。

例えば、作業スピードが遅い従業員がいたら、「もうちょっと時間を意識して働いてください」って言った方がいいと思うんです。でも日本では、「あなたは仕事が遅い」って言うと、相手が傷ついちゃうと思うから、絶対にそういうことは言わない。まずは「〇〇さん、あなたはこことここができていて、素晴らしいですね」って30分くらい褒める。それで、その最後に、「もうちょっと、個々の部分を直した方が、もっといいですよ」って付け加える。でも、それじゃ、こちらが本当に伝えたかった部分が伝わっているとは限らないですよね。相手は「あー、褒められた」って思って、終わっちゃうかもしれない。私は、だからわかりやすく伝えた方がいいと思うんだけど、違うのかな、って。

――日本人の従業員の皆さんと働く店長として、今はどうですか?

前の店舗で、その頃の店長に「林君は素直なんだけど、素直過ぎて、相手を傷つけないように気をつけてね」って言われたんですよね。「自分ではそう思っていないと思うけど、他の人から見ると厳しいよ」って。今はちょっと日本人っぽくなってきているから(笑)、褒めてから指摘する、っていうのを心がけていますね。

もちろん、褒める時は、ちゃんとできているところを心から褒めて評価するようにしているので、日本人みたいに30分も長いこと褒めることはしないですね。

――でもね、私も日本人ですけど、せっかちなので、「褒めるのはもういいので、直した方がいいところを言ってください」って思います。

そうそう! 効率で考えれば、さっさと端的に指摘した方がいいと思うんですよね。でも、相手によっては、指摘してばかりだと、どんどん暗くなってしまうんですよね。「店長は私のことを褒めてくれない」「ミスばかり指摘される」って考えていって、「私はこの仕事は向いていない…」とかって思ってしまうんですよね。そこの辺の伝え方や指摘の仕方は気をつけています。渡辺さんみたいな考え方をする日本人は少ないと思いますよ(笑)。

――でも、普段の信頼関係がベースですよね。日本人は叱られたり指摘されたりしていると、「私のこと嫌いなのかな」って思ってしまうところがあるかもしれないですけど、仕事の注意や指摘は実は「仕事の進め方」の話だけなんですけどね。

そうですね。その辺りは確かに難しいですね。

■チャンスがあれば海外に行って、「自分だからできること」で活躍したい

――林さんは、この先、どんなキャリアを見据えて働いているんですか?

僕はこの会社に入る前に、この会社の未来性を信じて入社してきているんですよね。「日本と中国の橋渡しになる」っていうのは、ずっと決めていること、抱いている夢なので、このあとはしっかりと店長になって、マネージャーになって、その先にチャンスがあって、会社が海外に出ていくことがあったら活躍していきたいなと思っています。でも、僕は確かに中国人なんだけど、この会社に入社したので、周りの日本人の従業員と同じように働かなければいけないっていうのもわかっています。その中で、中国人として…いや、中国人というよりも「僕」にしかできないことがあると思うから、それを活かしていきたいなと思います。

毎年、11月に社内で自己申告で、今どんな仕事をしていて、楽しめているかどうか、将来、どんな仕事をしたいか、といったことを会社に提出できるんですね。そこで「海外に行くことがあったら、行かせてください」っていうのを毎年繰り返し、書いています。

でも…、繰り返しになりますけど、その前に今の「店長」っていう仕事をしっかり果たしていかなくちゃいけないですね。

――店長という立場に立って、仕事の中で意識していることはありますか?

自分が率先してやってから、部下の人にやってもらう。自分が先にやっていないのに、部下に指示を出す資格はない、と考えています。

例えば、店舗で洗浄、清掃っていう仕事があります。でも、その仕事は暑いし面倒くさいし、疲れる。自分が先にやらないと、「〇〇さん、洗浄をやってください」って言っても、相手は動いてくれないと思うんですよね。「店長、なんでやらないの」って。なので、自分からちゃんとやろう、というのは大切にしています。

■娘が生まれて、年配の従業員とのコミュニケーションが増えた

――何か苦手なこと、得意じゃないことはありますか?

特にないですけど… そういえば、うちの会社は年配の従業員の方が多いので、最初は悩んでいましたね。何を話したらいいのかな、どうやって話しかけたらいいのかな、っていうのが分からなかったです。

でも、去年、娘ができたことで、変わってきましたね。子どもの話をすると、皆から「店長、今はそういう時期ですよ」「子どもってそういうもんだよ」って話すきっかけができましたね。「最近、娘が夜、泣き止まなくてね」って言えば、「店長、そういうものですよ」って教えてくれて、自然とコミュニケーションが取りやすくなりました。パパになって、そういう意味でも良かったですね。

――お嬢さんにどうなってほしい、っていうパパとしての想いはありますか?

日本で育てていく予定ですけど、どうなってほしい…っていうのは特に考えていないですけどね。とにかく「楽しく育てていく」っていうのが今の目標です。

――お嬢さんにとっての「おじいちゃん」「おばあちゃん」は中国に住んでいらっしゃるんですよね? すぐに会いに来るのは難しいんじゃないですか?

そうですね。なかなか大学の頃みたいに年に6回帰ることはできないですけど、でも親が日本に来て、もう娘にも会いに来ましたよ。

――ご兄弟はいらっしゃいます?

弟がいます。でも、結婚していません。子どももいないので、僕の娘が親にとっての初めての孫です。

僕の親は、僕や弟には厳しかったんですよね。勉強のことでも、しつけのことでも、すごく厳しかったんです。なのに、孫に対してはすごく優しくて甘い(笑)。「なんで?」って訊いたら、「あんたたちは男だから。孫は女だから」って言われて、「なんでや!」って思いました(笑)。

――「なんでや!」ってね(笑)。

■「平日休み」も飲食業で働きたいと思った理由のひとつ

――パパになって、夜もお嬢さんが泣いて…って大変ですけど、ちゃんと休めていますか?

シフトによりますけど、平日の方が多いですね。サービス業なので、土日は家族連れが多くいらっしゃるので、正直に言うと店長としては土日にいたほうがいいかなって思っていますね。勿論、週末に休みが取れないわけではないんですけど、僕は気になるので、働いていることが多いですね。

実は平日休みっていうのが、飲食業で働く理由のひとつなんですよ。

僕、人混みが嫌いなんです。一回、夏休みに嫁と一緒に遊園地に行ったんですけど、昼には「帰ろうよ。つまんない」ってなっちゃったんですね。すごい人が沢山いるし、暑いし、並んでばっかりだし、本当に嫌だったんですよね。だから、アトラクションにひとつも乗らないまま、「もう帰ろうよ」って言って。嫁に散々怒られたんですね。「2人でチケット代として1万5千円も払ったのに、何もしないで帰るの?」って(笑)。結局、なんとか夜まで遊び続けたんですけど、休日に混んでいるところに行くのは好きじゃないです。

あと、食べることも好きなんですよ。有名なお店とか美味しいお店に出かけることも多いんです。当たり前ですけど、土日は並ばなければいけないことが多い。平日は皆が仕事していて、お店も混んでいないので、すぐに席に通してもらえて、ゆっくり食べることができますよね。

土日で忙しい時間帯にお店に入ると、自分も飲食業で働いているので、店の前に並んでいる人がいると気になっちゃうんですよ。「あ、並んでる、並んでる。早く食べて、出なくちゃ」って思っちゃうんですよね。

――それは、職業病ですね!

■「最後までやり抜く」・・・これが人生で一番誇れること

――林さんの「自分らしさ」って何だと思いますか?

「最後までやり抜く」っていうところですかね。人生今まで誇れるのは、失敗したとしても、最後までやり抜く。途中で諦めない。これは胸を張れます。意識しています。
日本に来て、最初の頃はうまくいかなかった。周りの皆はもともと自分の国で日本語を学んできているし、どんどん上達していくのに、なかなか自分は理解できないまま。日本に来たばかりの半年は本当にきつかったんです。諦めてしまいそうになったこともありました。日本語ができないから、アルバイトも見つからない。やることがない。両親からも「それなら、中国に戻ってきて、そのまま大学に行けばいいじゃない?」って言われていたんです。

でも、自分で決めて日本に来たわけだから、「これが人生の失敗だったとしても、最後まで頑張る」って思ったんです。それに、失敗ばかりだったとしても、最後までやり続けていたら何とかなることもありますよね。

――その「諦めない」コツはあります? 諦めそうになった時に、自分に言い聞かせることとか?

「楽観する」っていうことかな。「なんとなく、なんとかなるし、なんとかする」。色々と問題はあります。でも、なんとかすれば、なんとかなると思うんですよ。なんとなく、ね。

――強いですね。

■娘が「パパ」って言ってくれる、その日を楽しみにしている

――今後のビジョンは?

店長らしく、親らしく、自分らしく。

去年の秋に生まれてくれて、年末年始も忙しかったから、あっという間。本当に時間が経つのは早いです。もうすぐ「パパ」って言ってくれるだろうから、すごく期待してる(笑) 最初に子どもが喋れるようになる言葉が「ママ」「パパ」っていうのが面白いですよね。不思議。でも、そう言ってくれる、その日を今、とても楽しみにしています。

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