働く動機は「飲食が好き」だけで十分! | らしく

  • 多田竜二

働く動機は「飲食が好き」だけで十分!

今回は、運営部長として多くの現場や多くの部下を抱えていらっしゃる多田竜二さんにお話をお伺いしました。部を統括する立場でいながらも、根本は現場で従業員ひとりひとりと関わっていたい、同じ方向を見て想いや考えを語り合って、同じように汗を流して働きたい、と言う多田さん。現場運営や新卒採用についてもリアルで熱い本音を語っていただきました。
インタビュー実施日:2018年1月16日(らしくインタビュアー渡辺)

■37歳の頃から運営部長という立場で働いている

――今のお仕事とお立場について、お聞かせいただけますか?

ひとつの運営部の運営部長をやっております。直接担当している店舗が16店舗、部下のマネージャーが2名で、さらにその下で見ている店長が5名います。

――イメージ的にはエリアで統括しているみたいな感じでしょうか?

そうですね。北陸と北関東にそれぞれマネージャーがいて、茨城と栃木の一部を直轄で見ているという形です。

――活動されているエリアは多岐にわたりますね。

そうですね。私自身は千葉に住んでいるんですけど、月に1~2回ぐらいで各エリアに回って、マネージャーと話をしたりとか、各店舗を回って状況を確認したりとか。そんな感じで活動していますね。

――多田さんが通常いらっしゃる場所としては、千葉のオフィスですか?

いや、基本的には出社している時は店に行っています。本社に行くのは会議の時と月曜日ですね。月曜日を数字をまとめたりする日にしてますので。その日は近くの他の運営部の店舗に行って、あとは本社の方で仕事をしています。それ以外の曜日は、ほぼ店の方に見に行って、ちょっとメンバーと話したりします。それで、週末は一緒にオペレーション入ってみたいな。

――オペレーション入ったりということは、接客だったりとか?

あ、そうです。自ら営業をやってという感じですね。

――ちなみにお休みというのは、平日ですか? 運営部長の多田さんご自身もシフト的な感じなんですか?

そうですね、週末はほぼ休まないですかね。売上が取れるタイミングなので、そこはお店に行って一緒に汗流して売上を稼ぎにいくと。平日は会議とかあるんですけど、お店のシフトの状況に合わせて、休める時に休むという感じですね。

――月にお休みってどれくらい確保していますか?

一応、週2は入れてます。

――意識的に、取っていらっしゃる。

休みは入れるようにはしてますけど。会議が重なったりすると、忙しい時期は休めない時もありますね。だからどっちかというと、アメリカ的な感じで認めてもらって、グッと働いてグッと休みたいんですけどね。なかなかそうもいかないですね。

――ここは日本ですからね(笑)

そうなんです。なので、それに合わせてっていうのはあれですけど、週に2日。前の週に1日しか取れなかったら、翌週は取れるなら3日取ろうかな、とか。そういうのは一応意識はしてますけど。でもまぁ、部下が休めている、休めていないというのもあるので、なかなか思うようにはいかないところですね。

――今の運営部長さんという肩書、立場になったのはどれくらい前のことですか?

自分は1回運営部長をやったことがあるんですが、その後、本社で新しい業態を立ち上げるような部署に行きまして。それを経て現場に戻って、今、また運営部長になったのでちょっとイレギュラーなんですけど。そうですね、運営部長をやっている期間としては、前やっていた期間も合わせると、3~4年くらいの間ですね。

――失礼ですけど、おいくつでいらっしゃいますか?

今年41になります。

――運営部長って、年齢的に若い人が多い会社でいらっしゃるのですか?

若ければ30代とかからやっていますね。自分も一番最初に部長になったのは、37、8ぐらいの時だったんですけれど。

――直下でいらっしゃる2人の部下の方はどれくらいの年齢の方ですか?

一人は中途の人のなので、1つ下です。もう一人はもともと新卒から入った方なので、4つ、5つくらい離れてる。

――多田さんも新卒で入られたんですか?

そうです。ただ、自分は前職がマイカル側だったので、合併してイオンになったという経緯があるんですけど(※注:多田さんが働く会社は、イオングループとマイカルグループとが合併してひとつの会社になったという背景があります) 今日、このインタビューの日程を調整してくれた人事のK君とは同期なんですけど、ちょっと違うんですよ。彼はイオン側の育ちなので、育ちが違うというか、生まれが違うんです(笑)。

■アルバイトの時に「接客って面白い」「調理って面白い」って思ったのが業界に入ったきっかけ

――もともと学生時代から今のような仕事に就きたいと思って、キャリアを始めたんですか?

もともとは物を作ったりするのが好きでした。うちの父親が職人的な仕事をしていている人だったので、家に帰ってきても何か作ったりとかしてたんですよね。その延長戦で、一緒に木から削って何かを作ったりとかっていうのはよくやってくれてたので、そういうのもあって「ものづくり」は好きだったんですよ。

大人になって自動車をいじったりするのが好きだったので、そっちの方面に働きに行きたかったんですけど、給料が安いんですよね…(苦笑) それに大卒は整備の方に入れなくて、「それなら、そっちの道は趣味にしようかな」っていう感じにして。

アルバイトの時に飲食に興味があって、やってたので、その時に「接客って面白いな」「調理って面白いな」って思ったんです。言ったら、人の銭を使って商売するわけじゃないですか(笑)。なので、そういう部分に面白みを感じて。アルバイトの時の店長が「興味あるんだったら社員にならないか」って言ってくれたんですよね。当時、大学生で自分も特別したいこともないしな、みたいのがあって。興味もあって、好きでやってた仕事がそのまま自分の仕事になるんだったら面白いかなって思って、大学2年か3年の終わりぐらいに、「じゃあちょっと飲食の方に行ってみようかな」みたいなことを考えて、そのまま来たような流れなんです。

でも実は、小さい時は、よくおじいちゃん・おばあちゃんに「男が台所に入るもんじゃねえ」と言われながら育ってきたんですけどね(笑)

――ちょっと意地悪な質問ですが、就職して飲食に入ってからは、「あー、やっぱりちょっと違う方向がよかったかな」とか思うことなくまっすぐ、キャリアを重ねてきたって感じですか?

そうですね。今の子って、いろいろあるじゃないですか。「あんなこともやって、こんなこともやって、いろいろ経験したい」みたいなのがあるんですけど、時代もあるかもしれないですけど、自分の場合はそんなになかったんですよね。例えば、「事務職やってみてぇな」とか、そんなのは一切なかったというか。働いている中で、「腹立つ! 辞めてやる!」とか一時的なそういうのはありますけどね。

あと今、振り返れば、「仕事が嫌いだから辞めたい」とかいうのとは違うところで、「このままいても、自分、この先どうなんのかな」みたいな迷いがあった時期もはあったりしましたけど、だからといって別に飲食以外で別の仕事をやるって言ったって、たぶん同じような仕事してるかな、とかいうのが自分の中であったので。特別違う方向にみたいなのはなかったですね、どっちかというと。

多田竜二さんが勤務するのは・・・
株式会社イオンイーハート
株式会社イオンイーハート 採用ページ

■監督・コーチみたいな立場で、下の世代が育っていく姿を見るのも、楽しくて面白い

――先ほど、子供の頃、「男は台所に立つな」と言われていたということですが、料理にも興味はあったんですか?

幼稚園とか小学校ぐらいの時に、田舎に正月とかに帰ったりした時に、興味があるので台所に入っていくわけですよ。「おばあちゃん、何か作っているのかな」とか。そうやって見ていると、おじいちゃんが「台所に男が入るもんじゃねえ」みたいな(笑) 自分では記憶にない部分もあるんですけど、「結構、料理を見ていた」みたいなことをおふくろから聞いたりとかしてたんで、その時から潜在的にそういうのに興味があったのかなとは思うんですけど。

――アルバイトされた時、飲食店には、いわゆるキッチンとホールとありますが、両方入られていたんですか?

自分の場合はキッチンからです。調理の方から。調理に興味があるんで、ってことでアルバイトの方に行って。

――それで、接客もやるようになって、そっちも面白いかなと気づかれた?

そうですね。

――今、どっちが好きかと聞かれたら、どうですか?

うーん。今自分の中では、商売というか営業という意味で言うと、接客の方が好きかなっていうのはありますけど、キッチンはキッチンで楽しみがまた違うので。

――きっとものづくりがもともと好きだったという方の部分ですよね。

営業では、いっぱい来たお客さんや注文を、人にいろんな指示を出しながら、さばいていく楽しさがあります。でも、自分が出した料理について、「これ、お客さんが『美味しそう~』って思って写真撮ってくれんじゃねえの?」みたいな満足感は、それはそれで、ちょっと違う面白味なので。別にどっちがどっちという感じでもないですし… どっちも好きなんじゃないですかね。

――マネジメントの立場になると、労務管理とか数字の管理とか人材管理とかに入ると思うんですけど、ご自身としてはプレイヤーとしての仕事の方が楽しいですか?

プレイヤーの方が楽しいは楽しいです(笑)。それは楽しいですよ。でも、今の自分の置かれている立場を踏まえて、経験してきたことを今後若い店長たちに継いでいかないと、って考えると、楽しいとか面白いとかではなく、必要だからやらなければいけないことですよね。それは仕事、商売だから。自分はサラリーマン的なマネジメントは別に面白いとは思っていないんですけど、人と関わることとか、人を介して人が変わってくれるのを見ることには、面白味を感じています。監督というかコーチみたいな立場で、下の子たちが育っていく姿を見るっていうのは、また違う楽しみというか、面白味を感じながら、今やっているかな、と思います。

――それは上の立場に立つようになって気づいたんですか? それとも、もともと「人を育てたい」とか、「人に教えたい」、あるいは「こういう思いを伝えていきたい」とか、そういうものがご自身の中にあったんですか?

何かをしてあげたいというよりは、「一緒にやりたい」っていうタイプなので、どっちかというと部活みたいな感じですかね。「一緒に仲間でやってるんだから」ということは大切にしたいと思います。仲間が困っている、ということに気づいてあげられるかどうかって、そこを意識できるかどうかじゃないですか。そこの部分は大事にしたいなというのはありますし。どっちかというと家族的なというか、仲間的なというところが強いですね。

■言いたいことを言い合えて、「歳は関係ねえじゃん、同じ仕事してんだからさ」っていうスタンスが心地いい

――学生時代は、何か部活とかはなさっていたんですか?

バスケをやっていました。小学校の後半ぐらいから、小・中・高とバスケですね。

――ちなみにリーダー的存在として活躍されていた?

うーん…。中学の時は一応キャプテンはやっていましたけど、でもどっちかっていうと、こういうキャプテンというよりは、一緒にこう、「やっていこう」っていうタイプだったので。

――上からお前たち頑張れよっていうのではなく、頑張っていこうよという感じ。

そうですね。

――じゃあもしかして今の仕事でもそういうスタンスがある?

まあそうですね。あるかな。

――部下の方々からどういう部長、あるいは先輩だったり上司だったりって、言われることが多いですか? あるいはこんなこと言われてるんじゃないかなっていうのはあります?

あんまり、その辺が実は苦手で(笑)。なんか「こう思われてんのかな」っていうのはあるんですけど、自分で「そう思われていると思う」って思った瞬間に、なんか自分じゃいられないような気がして。

――意識してしまう(笑)

そうそう、そうなんです。あんまり考えないようにはしてます。敢えて。ただ、「別に堅苦しい上司だなとは思われていないだろうな」とか、「まあ喋るのが好きな人だな」とかは思われているかな。それぐらいは思いますけどね。

――そう思われていたいというのはありますか?

確かにあります、それは。

――お話してまだ30分経ってないですけど、そんな感じがします(笑) 失礼かもしれないですけど、年上でいらっしゃるのに話しやすいです。

ありがとうございます。それはやっぱり、自分が若手だった時に関わった店長とか上司とかが、結構そういうスタンスで、恵まれた環境で社会人として成長してきたなというのがあってですね。堅苦しいのは嫌いですし。言いたいことを言い合って、「そんなの歳は関係ねえじゃん、同じ仕事してんだからさ」っていうスタンスが心地いいな、と。ずっと、そう感じながら部下でいた時期があったので、上司になっても、そういうふうになりたいなと思っている自分がいるのかなって。最近歳とってから思うようになりました(笑)。

――まだ41歳じゃないですか(笑)。仕事の中でそういう意味での部下との関わり、メンバーとの関わりで、意識しているプロ意識みたいなものはありますか?

「ものの言いやすい環境、組織にしたいな」っていうのは、ひとつあります。だから、「一緒に汗を流す」っていうことは大事にしてます。相手がキャストさんだろうが店長だろうが、アルバイトさんだろうが、一緒に作業しながら「ああだよね、こうだよね」って言いながらやる時間は大切にしたいな、っていうふうには思っています。改まって座って話すというのも大事ですし、そういう時間も取りますけど、そっちよりはどっちかというと、立ちながら作業しながらくだらない話をしながら、「ああだね~、こうだね~」みたいな言いながら、「来年の正月はよろしく頼むね~」とか頼みながら(笑) そうやっているようなスタンスですかね。

立場的にマネージャーと関わる時はやっぱりこう座って、「こうだよね、ああだよね、ここの問題点どうだよね」っていう部分もやらざるを得ないところはあるんですけど、やっぱりマネージャーが実際に働いているところに巡回に行った場合は、一緒に働きながら現場で動きながら「これってまずくねえ? こっちの方がいいんじゃねえ?」みたいな「そうですよね」「じゃあ変えるか」みたいな感じで、一緒に現場に関わるようには心がけていますね。

■「目の前のお客さんにとって、何が一番大切かを考えながら数字をつくるのが店長だ」

――そんな多田さんの、仕事でこれは苦手っていうものってあります?

苦手……?

――例えば、私、数字を扱うのが苦手なんですよ(笑)。

あー(笑) なんていうんですかね、自分もどっちかというと、感覚で生きてきた人間なので、理論立てて数字で説得するというのは苦手な方です。だけどまぁ、この立場になってからはそういうこともやっていかなきゃいけないので、数字は見るようになったというか、敢えて見るようにはしてますけどね。苦手か苦手じゃないかと言えば、、数字は苦手です。

――どっちかというと、論理的にっていうよりも、現場見て、「こうなんじゃないの?」っていうところを話し合って作っていく方がお好きだったり、得意だったり。

そうですね。イオン側の……、自分はイーマイカル側から来た人間で、マイカルの時の同僚ってもうほぼいないんですね。先輩の方々は何名かいるんですけど、同僚とか同期って言われるような立場の子たちっていうのはもうほぼいなくて。逆に自分の同期と言われる同じ世代の子が5人ぐらいいるんですけど、それはみんなイオン側から育ってきている方たちで。

――さっきの、「育ちが違う」という方たち?

そうですね。でも、彼らは自分のことを「同期だ」と言ってくれるので、そういうところは嬉しいなって思うんですけどね。一緒に仕事することも、上司部下の関係になることもあるので、そういう時によく言われるのは、「マイカルの人って商売人だよね」って。

その現場、現物で今何が必要なのかっていうことに対しての視点とか意識とか行動とかって、やっぱりマイカルの人って違うよね、と言われることがあったんですよ。自分はそんなに意識したことがなくて、でも、逆に「イオンの人たちは、よく数字をおさえているな」とか、「あ、こういう数字見ながら、こういうことを考えなきゃいけないんだ」とかっていうような、違う畑のいい部分みたいなものを感じることがよくあって。

――面白いですね。あるんでしょうね、きっとそういう出身が違うからこその違いが。

たぶん「育ちが違う」という(笑)。会社が大事にしてきているものっていうか、スタンスっていうか。マイカルの時も数字はありましたけど、「今ここの目の前にいるお客さんにとって、何が一番大切なのかっていうのを考えながら、店の数字つくるのが店長だ」って言われながら育ってきたので。今はいろんな問題があってできないですけど、過去で言うと、例えば人気の商品と商品を勝手にくっつけて、新しいメニューを作ったりとか。それで売上つくって「ほら、みたことか」みたいな(笑)。

――それは確かに商人ですね! 売れるものを作ったということですよね。

楽しいんですよ、またそれが。ちょっとした組み合わせとかそういうことなんですけど。その時に、例えば原価の計算したりとかして、そういうことを覚えたりとか。

――同じ「数字を扱う」って言っても、入り口が違うのかもしれないですね。数字で戦略を練って机の上で始めるのか、お客さんの目の前にいて、これとこれ売れるじゃんというところから現場で始めるのか。

そうです。たからたぶん全然畑が違うというか。だから面白いなとは思うんですよ。彼らと飲んでてもずっとそんな話ばかり(笑)。

――仕事の話で飲むこと多いですか?

そうですね、プライベートもありますけど、同期と言われる人たちは結構もう入り混じった感じですね。互いに嫁の悪口言ったりとか(笑)。

――ここ、カットしますか? 笑いながらおっしゃるってことは、いいのかな(笑)。ここからプライベートなお話もお聞きしたいんですが、家族って何だと思いますか?

人生の中での「自分」ですよね。息子が一人いるんですけど、息子もそうですし、嫁もそうですし。嫁なんて、言ってみたら血も何も繋がっていなくて、ただ紙一枚で婚姻してるっていうだけの存在ですけど、その存在っていうのはすごく自分の人生においても大きいものだし。今の時代、離婚っていうのは世間的には当たり前ですけど、自分は、それはどうなのかな、と。「一生連れ添うのが当たり前」みたいなところまでは思っていないですけど、自分の人生、生きている中で重点がどこにあるかというと、嫁と息子…、家族にあるかなって思うところはあります。

――素敵ですね。お子さんは何歳ですか?

今6つになったところです。今年4月から小学校です。

――ちょっと雑談になってしまいますけど、今も男の子って黒いランドセルって決まっているんですか? 時代に合わせて、きっと変わってますよね?

全然違いますよ。今は何千種類ってあると思います。色の組み合わせだけでも。横の革とカバー部分の革の色も、全部自由に組み合わせができる。留め金みたいなやつも、一つひとつも選べたりとか。

――えっ、そこまでなですか! …親は大変ですね。おじいちゃん・おばあちゃんも大変ですね。

(笑)。半分、こっちがもうある程度決めた上で子どもに「これでどう?」みたいな感じにはなっちゃいますけど。本当にもう全然違いますね。自分らの時は黒しかなかったんで。

――そうですよね。

■趣味は釣り。プライベートでは、釣りに出かけて、魚を持って家に帰る

――さっき、平日に休むようにしているとおっしゃっていたお話からすると、お子さんと過ごす時間って、いわゆる月曜日から金曜日まで働いて、土日休みのいわゆるサラリーマンみたいな人とはちょっと違う?

そうですね。やっぱり幼稚園から帰ってきてから一緒にいるようにしたりとか、っていうのは敢えてしてますけど… 休める時はやっぱり週末に休むようにはしてます。

――奥様も働いていらっしゃるんですか?

いや、働いていないです。家でちょっと仕事をしている程度です。

――お休みの日は、奥様と一緒に過ごしています? それとも、それぞれ自分の時間を楽しんでいます?

平日の幼稚園行っている間は、お互いに好きなことをしていますね。うちの嫁はジムに行ったりとかしてるんですけど、「今日どうすんの? ジム行くの?」「行くよー」「そうかー、行っといでー」みたいな感じです。その間に、自分は釣りが趣味なので、「じゃあちょっと俺、朝から行ってくるよ、明日」みたいな感じで1人で行ったりとか。

それで、チビが帰ってくる時間に合わせて公園行ったりとか、「たまにはお前好きなところ行ってこいや」って言って、チビとふたりで遊んだりとか、っていう感じですかね。

――そうなんですね。今は3人で住んでいらっしゃる。おじいちゃん・おばあちゃんは別で。

そうですね。

――子どもが産まれて変わったこととかってあるんですか?

生活リズムというか、使う時間の配分は変わりましたね。子どもがまだいない時は嫁とほぼ二人で、どこ行くにも一緒に、趣味の釣りする時も一緒に来てたりとかしていました。けど、今はもう来ないです。それだったら自分の好きなことやる。自分も好きなことやってるわけだから、「やっといでー」っていう感じはありますし。「たまには俺がチビを見ておくから、好きなことしてこいや」みたいなのもありますし。

――素敵ですね。ちなみに、釣りが趣味の人に共通するのかわからないので聞きたいんですが、何が楽しいんですか? やっぱり自分だけの時間に没頭できるっていうのあったりします?

それはありますね。基本的に何も考えずに、どうやったら釣れるかとか、そういうことしか考えないじゃないですか。なので仕事のことも含めて、別にそういうのも考えないです。そもそも人間は農耕民族と狩猟民族がいて、たぶん狩猟民族側なんです、自分は。

自分は船に乗ったりとか、お金を使っていくような釣りってあんまりしなくて、例えばその辺に車で行って、ポッと行った先とか漁港とかで、想いのほか大きな魚が釣れたりするわけですよ。本当に、やり方次第で。その狩りみたいなのが面白いですよね。

あとはよくある話で、釣った時の感覚というんですか? 「来た!」っていう感覚っていうのがありますし、「もっと大きいの来い、もっと大きいの来い」っていうのもありますし。

――釣った魚は家に持って帰る?

もちろん持って帰って、さばいて食います。

――じゃあ、お子さんも、「今日はお父さんが釣ってきた魚でご飯だ!」と。

そうです。一緒にはまだ行かないですね。そろそろ、行く人は結構連れてきたりはしてるんですけど。ちなみに、釣りの話が続きますけど、自分が好きなのはイカ釣りで。アオリイカを岸から釣るのが好きなんですよ。

――え? イカって岸から釣れるんですか?

釣れるんです。アオリイカは船でも釣れるんですけど、手軽に本当にその辺の漁港に入っても、釣れます。まあ時期もありますけどね。2キロとか、3キロ、2キロ半とかのイカが釣れるんですよ。それも持っていって食べる。

嫁のお義父さんが釣り好きなので、そこで共通点になったりもしますよ。お義父さんとふたりで釣り行ったりしますからね(笑)。

――そのうち、もしかしたらお子さんも一緒に、親子3代で、っていうのもありそうですかね。

そうですね。それもまあ、楽しみですね。

――他に何か趣味は? 「もともと、ものづくりが好きでした」っておっしゃってましたけど。

車関係で、例えばいじったりするのは好きですね。最近の車はちょっと難しくなりすぎて、できないことも多いんですけど。昔は結構、足回り変えたりとか、自分でやったりしてたんで。

――その辺もはお金も使う?

その時は金かかってましたね。正直、金かかります。

――お父さまのお仕事も、ものづくりだったとおっしゃっていましたが、どんなものを作っていらしたんですか? どんなもし差し支えなければ。

FRP(繊維強化プラスチック)っていう素材を使って… 代表的なもので言うと、新幹線の先っぽにあった部品を作ったりするような会社にいて。そこで実際にものを削ったりとか、そういう加工の仕事をしていたんですよね。

――なるほど! 本当の意味での物をつくる職人さんみたいな感じなんですね。

そうです。うちの父親も田舎の人間なので、「遊ぶことってそんなことしかなかった」ってよく言うんですけど、その辺の木を切ってきて削って船の模型をつくったりとか。例えば、さっきの釣りの話の続きですけど、川でやる釣りで竿受けみたいのがあるんですけど、堅い木を材木屋からもらってきて、それを削ってそういうのをつくったりとか。そういうのを見てたので「なんでも作れるんだ」みたいな、「あるものはなんでもつくれる」みたいなそういう感覚は持っていますね。

――今の子っておもちゃもゲームだったりとかで、つくるということをしないんじゃないかと思いますけど。カッターは危ないから与えないとか、粘土もカラフルで汚れないと聞いています。

できるだけ子どもと外に行った時には、自然にじゃないですけど、そういう遊びをしたりとかするようにはしていますね。ショッピングモール行って、ゲーセン行って、どうのこうのみたいのはできるだけしないようにはしていますけど。

でもやっぱり時代が違いますね。でもうちの嫁なんかはどっちかというと、暑いの嫌だし寒いの嫌だからって、外を嫌がりますけどね(笑)。

――(笑)

■小学校3年生か4年生の時の社会科の先生が自分を変えた

――ここまでバーッと話聞いてきましたけど、「人見知り」なんですか?

はい。そうなんです。接客は仕事なので、仕事と面白味が一致してるものなので、できるんです。

――じゃ例えば、釣りで漁港に行って、知らない漁師と話すのは?

それは大丈夫です。同じ趣味なので。仕事とかで、実は今日もそうなんですけど、最初のとっかかりがすごく苦手で。だから今日、人事のK君と幕張から一緒に電車で来たんですけど、「ほんま嫌やわー、ほんま嫌やわー」って言ってたんですよ、ずーっと(笑)。

――よかった最初に聞かなくて(笑)。人見知りは、昔からですか?

そうですね。うちのおふくろからすると、ちっちゃい時はほんとに自分から物を言えない子だったとか。自分で言うのもなんか変な話なのかもしれないんですけど、遠慮しいというか。「あんたはほんとに遠慮ばっかりしてた」「子どもらしくなかった」ってずっと言われてたんです。例えば親戚のおじさんが来て、「お年玉あげる」って言った時に、今はうちのチビもそうなんですけど、ありがとうも言わずにパッともらうんですよね。「ありがとうは?」ってこっちが言わなきゃいけない(笑)。でも、自分は、素直にもらうっていうのができない子で、「もらっていいの?」って親に聞く子だったみたいなんですね。

――上にお兄さんやお姉さんはいらっしゃいます?

姉がいます。どっちかっていうと、うちの姉もそんな感じ。親戚のおじさんからは、「ほんと、お前らは子供っぽくない」ってよく言われました。

――良い言い方をすれば、良い子で、わきまえてるなってなりますけど。親戚のおじさんとしては、「やったー!」って素直に喜ぶ方がいいってことですよね。

そうそう。そういうのがあって、小学校の2年生か3年生ぐらいまでは、先生に自分から何か言ったりとかっていうのができない子で。

――どこで変わったんですか? 変わったのかしら?

うーん。小学校3年生か4年生の時の社会科の先生に、自分だけじゃないんですけど、皆、テストの点数がすごく悪かったんですよ。それで一回怒られたんです。「お前らこんなんでいいのか!」「お前ら本気でやってねえだろ!」みたいなことを言われて。そんな先生いるんだって思って、そこから先生とすごくいろんな話をするようになったんですよね。人と話すのとか新しい人知らない人と話したりするのって、そんなに嫌なことじゃないのかな、みたいなのをちょっと思い始めて。

――すごいですね、その先生。

その先生がきっかけだっていうのは、自分でもすごく感じる部分で。本気で来る先生だったんで(笑)。その先生がバスケの部活の顧問で、それでバスケに入ったというのもあるんです。

――そこにつながるんですね。出会いって大事ですね。

そうなんです。「本気で関わった以上は」っていうことをよく考える先生だったので、「お前ら本当にこのままでいいの?」みたいな感じで言われて。「俺はいいよ別に。でも俺は寂しいよ」みたいな、そんな言い方をする先生だったんです。「別に他人だからいいんだけど」「だけど俺は寂しいんだよ、お前らがそういう気持ちでいるのは」って。

関わり方というか、接し方というか、そういうのが本気だったんですよね。今の自分があるのは、その先生の影響もありますね。自分が嘘ついていれば、周りもそれを見抜くじゃないですけど、本気にはなってくれないなっていうのはありますし。本気で接したいっていうのは、どこかでありますよね。

――多田さんって、熱いですね。

熱くないですよ!

――いやいや。熱いと思います。素敵です(笑)。

■よく喋るのは、自分が話の主導権を握っておきたいから

――採用面接とかされます?

頼まれて、新卒の子の幹部面接みたいなのを、ちょっとお手伝いすることもあるんですけど、実は結構苦手。店長の時に面接とかもしていたんですけど、最初はすごく苦手でした。でも仕事なんでね。どんな子なのかっていうのを見抜かないといけないので、行くようにはしてたんですけど。まあなんか…どっちかというと、面接するのはいいんですけど、面接されるのは嫌なんですよね。

――今、私、してますけど(笑)。めちゃくちゃ話聞いてますけど(笑)。

だから主導権握りたいんですよ(笑)。「よく喋るね」と言われるのは、そういうところもあるんです。いろんなこと根掘り葉掘り聞かれて、「なんだろうそれ、わかんねえな」みたいになっているのが嫌なんです(笑)。

――(笑)、正直ですね。

なのである程度、自分が話の主導権を握っておきたいっていうのはあるんです。だけど、やっぱり部下を持っていると、自分が喋りすぎるのもよくないので、部下といる時はおさえるようにはしています。

――傾聴、みたいな(笑)。素晴らしいですね。

「いかんいかん、言いたいけど言っちゃいけない」みたいなのは意識はするようにはしています。

――今、私ふたつ聞きたいことがあって、ひとつ目は仕事のつながりで聞きたいんですけど、「若い世代は」とか「若い今の子は」とかって言われるじゃないですか。たぶん関わること多いんじゃないかと思うんですけど、今の若い世代に思うことってありますか? 仕事をする上で。

うーん、そうですね。人事のK君とも話す機会が多いので、今の若い子たちが大事にしてることって、やっぱり自分たちの時代とは明らかに違うんです。「それは違うんだ」ってことを自分たちが認めないといけないと思うんですよね。だって、どうしたって一緒ではないじゃないですか。自分が思っていることを押し売りしたって、同じ思いにはならないんです。もともとのベースが違うので。だからできるだけ、例えば自分だったら、「今の仕事ってこういう部分に自分が面白味を感じてる」っていうことは伝えたいなって思ってるんです。その伝えたことに「面白いな」と思うか思わないかは、彼女・彼ら次第なので。皆が「面白いな」と思ったことに対しては、いっぱい拾い上げてあげたいです。

同時に「人間って変わる」っていうことも思っているので、だから何となく入った仕事、何となく始めたことでも、「あ、こんなことが面白いんだ」って気づくことで、会社に来てくれる子たちもいるじゃないですか。なので、今の若い子たちと接する時は、あまり先入観は持たないようにはしようと思っています。「まぁ、自分とは違う世代なんだ」っていうふうには思ってます。

■若い世代と接するうえで大事なのは、「自分とは違う」と切り離して認識すること

――ちょっと脱線しちゃいますけど、世の中の例えばハラスメントとかブラックな企業とかって、なかなかその「自分とは違うんだ」というのを切り離すのが難しい気がするんですね。つい、同じ業界にいたり同じ現場にいると、「なんでそうしないんだよ」とか、「なんでこうするんだよ」とか、どうしても『自分』というものが出てきやすいんじゃないかなと。私自身も自戒の念を込めてなんですけど、その辺はどうバランスを取ってらっしゃるんですか? やっぱりもう、違うものとして認識して、小学校の時の先生のように「お前がどうしようと勝手だけど、俺は寂しいよ」っていう主語が全然違うもの、育っていく中で体得されたんですかね?

自分もどっちかというと、口は悪い方なので(笑)。関西の人間っていうのもあって、「何言ってんねん」っていうのも実際にあります。それを、例えば彼女・彼らが「嫌だな」って思ったら、それはもうダメだと思うんですね。自分も失敗したこともありますから。失敗したからこそ、もう一回、「自分が今、それを言っても大丈夫かな」っていうことは意識するようにはしてます。何かを伝えたり、気づかせたりしたい時に誘導はしますけど、全部が全部、同じようにわかってくれるとは思わないようにはしてます。

――伝えることは伝えるけど、最後相手がどういうふうに決めるかは相手にゆだねる……。それはもしかしたら若い世代だけじゃないかもしれないですね。自分と他人という意味では。

そうですね。そもそもの考え方が違うわけですから。

■現場の店長は、意識してポジティブな声かけを大事にしていかなきゃいけない

――伝えることって、大事ですよね。

ある程度、慣れって、ありますよね。最近もあった話なんですけど、家で嫁が自分の靴を出してくれた時、「ありがとう」って言わなくなるんですよ、なかなかね。でもお店でキャストさんが自分の荷物を置いてる場所を整理して、自分のカバンを整えてくれたって時には、「○○さん、ありがとうね」って言うじゃないですか。それと一緒で、気持ちを言葉にして伝えるっていうことはすごく重要な部分だっていうのは、最近本当にキャストと店長とかの話を聞いてると感じますよね。

キャストさん同士でもちょっとした「これぐらいはわかってくれるだろう」みたいなことで、コミュニケーションがおかしくなっていく現場ってすごくいっぱいあって。言葉はいっぱいかけて、その反応を見ながら「あ、こういうことに興味あるのかな」みたいな接し方は、若い子たちにはするようにしています。でも、現場の店長は結構厳しいですよね。目の前に作業が待ってるんで、どうしても人間そんなにすごい存在ではないので。

――そうなんですよね、ちょっと余力がないと。「表情変わったな」とか、「この言葉はよくなかったかな」とか、観察をするまでのことができないじゃないですか。つい「ほら、お客さんが呼んでるよ」とか、「お客さん待たせているよ」とかってなっちゃいますもんね。

そうなんです。なので、そういうことを一歩踏みとどまって考えられることをアドバイスできるようにしないといけない立場なのかな、っていうふうには思うようになってますね、最近。

――それが立場ってものなんですかね。

うーん……。

――私も前職の現場でそうでしたけど、たぶん現場で働いている人って必死なので、「大事だ」って頭ではわかっていても、声かけを1個忘れちゃったり、「片づけて整理してくれたんだ。ありがとう」って言う前に、「なんでここ片付いてないの」って言っちゃうじゃないですか。

そうなんです(笑)。

――先ほどの、言葉にするというのが、どうしてもネガティブな言葉が先に出てしまって、そこでチームが崩れる。辞めちゃったりとか。愚痴の大会になって分裂したり。どうしても起こりやすい状況ではありますもんね。

まさにそうです。うちらの商売って、人がいないとどうにもならない商売なんですよね。言ってしまえば、店長って、すごいパフォーマンスができるとか、すごいオペレーション能力が高いとか、そういうことよりも、意識してポジティブな声かけを大事にしていかなきゃいけない時代なのかな、と思うことは最近すごく多いですね。若い世代と話してると特にそういうことを思います。

「すごい店長ってどう思う?」って若い子に聞くと、「やっぱりオペレーションができる人ですかね」とか、そんな感じの話になるんです。だけど、「そんなの別に5年働いてりゃできるようになるじゃん」って。「それがすごい店長なの?」「お前そんな店長になりたいの?」みたいな。そんな話をしていますね。

――まさにコーチングですね!(笑) これも脱線しますけど、すごい店長というものも、「仕事が早いな」「お客さんの対応が上手いな」「クレームあってもすぐ片づけるな」っていうのを見てる内って、やっぱりまだ視野がそこまでなんですよね。本当にすごい人って、「一番大事なところで、一言ちゃんと言うな」とか、「一番ここで欲しかった言葉をさっと言ってくれるなとか」とか。そういう余裕のある人がすごい人なんだって気づくのって、なかなかそういう人が近くにいないと気づけないところですよね。きっと多田さんがいろんな現場にいらっしゃって、もしかしたら店長やマネージャーに話しているのを見ているキャストさんが、「あ、すごい人ってああいう人なんだ」って見てる部分ってあるんじゃないのかな、って思います。

そうだとしたら嬉しいですね。

北陸のマネージャーがよく言うんですけど、「痛かっただろうな」っていう話をよくするんですね、彼は。「あ、あいつ、こけた」って気づかないと、「痛かっただろうな」って思わないじゃないですか。だから「こけた」とか、「つまづいた」とか、ちょっとした些細なことにどれだけ気づいてあげられるか。それに対して「痛かっただろう?」って思ったことをちゃんと言ってあげられるかというのは大事ですよね、みたいな話です。

新しい店のオープンの時に、よく彼に行って話をさせるんです。新店ってどうしても年月が経っていくと変な慣れあいとかができてきて、そういう「痛かっただろう」みたいなことに気づかなくなっていく。逆に目をそむけるようになっていく。「痛かっただろうな」ということが、「それぐらい大丈夫だろう」みたいなふうに変わった時に、「なんか既存店になっちゃったね」ってなるんです。彼とはそういう話をよくしています。

■「飲食が好きなんです」だけの何がダメなの?って思っている

――今後、今の会社の中だと何を目指しているみたいなのってあるんですか?

ああー…、よく登用面接の時にも聞かれたりするんですけど、自分はどっちかというと、現場とかそういう部分で、人と関わっていられるような立場でいたい、っていうのは思いますね。本社に座ってどうのこうのはもう…、逆に嫌だなと思って(苦笑) それはそれで、求められるんであれば、チャレンジしないといけないっていう思いはありますけど。でもまあ、「好きなことをこの会社でやっていいよ」と言われると、どっちかというとそっちではないかなっていう感じですかね。

だからよく、店長からマネージャーになった子が「自分、店長の方がいいっすよ」みたいな話する時に、「いや、そうじゃねえんだよ」みたいな部分で逆に話する時もあるんですけど。人を介して自分の思うことを成し遂げるって、それはそれで楽しい部分とか面白味のある部分じゃないですか。だから、本社に行けば行ったでそうなのかもしれないですけど、例えば自分たちが考えたメニューを、旨そうに作ってくれて、それを美味しいと言ってくれるお客さまがいて…みたいに考えると、本社での仕事も深堀りしていくと面白いのかなと思いますけど。

――本社の仕事も面白そうですけど、多田さんはやっぱり、現場で人を見て、話して、反応を見て… 10年後、50歳になっても、やっぱり今と同じように新卒で入ってくる子たちに、自分とは全然違うけど、「どんな子なんだろうな」っていう興味をきっと持って、話しかけて…ってところをやってらっしゃるんでしょうね。

そうしていたいなと思いますね。今の子たちじゃなくてもそうなんですけど、「なんで飲食業界に入ってきたのかな」っていう子が多いんですね。新卒の話とかをしてても、「イオングループだから」とか、「たまたま食関係の学校に行ってて、イオングループだからうちに来た」とかいう方たちもすごく多いんです。「そもそも飲食がしたい」とか、「接客業で商売がしたいんです」みたいな子たちってなかなかいなくて。

逆に言うと海外から来てる方は、「私は飲食という仕事が大好きで」っていう方ってすごく多いんですよ。自分はどっちかというと、うちの人事とかでも面接の内容でもそうなんですけど、「うちの会社じゃないといけないことって何なんですか?」っていう質問をぶつけるんですね。そういうのも確かに重要なんですけど、「じゃあうちと、他の会社さんがやっている外食とは、何が違うの」って言ったときに、そんなことって別にそんなに重要じゃないんですよね。別にうちだろうが、他社だろうが、いいじゃんって思っちゃうんですね。

何が大事かって言うと、飲食という仕事が好きなのか、好きじゃないのかってことの方が重要で、「飲食が好きなんです」だけの何がダメなの?って思っちゃうんです。

――でもそこって結構大事ですよね。イオングループだからって入ってきた人が、10年間、飲食の現場にいられるかと言えば……

いられないです。いられないです。

――私もアルバイトで飲食店で働いていた経験がをあるんですが、アルバイトで経験しちゃったから、良くも悪くも、「社会人になる時は違う道に行こう」というのもあるんだろうなって思います。

それはあります。

――でも、先ほどご自身の経験でおっしゃってくださったように、そこで社会人の方から、「もし好きだったらこの業界に入ってみれば」って言ってもらって、「自分は飲食好きかも」「人が美味しそうに食べるところを見るのが好きかも」「料理が好きかも」とか、そういうのがあったら、もっとこの業界を目指す人がストレートにその思いを言ってもいいはずですよね。

そうなんです。だから自分が去年の登用試験とかに、役員に対して言ったのは、「現場には学生がいっぱいいる」っていうことです。今後社会人になっていく人たちが、アルバイトとして、いっぱいいるわけじゃないですか。その子たちが「飲食っていいね」「うちの会社っていいよね」「飲食の中でもうちの会社の飲食って、なんかちゃんとそういう熱いとこあるよね」「そういうとこ、好きだよね」とかって思える子たちをどれだけ成長させられるかで、その子たちがうちの会社の社員になってくれれば、それこそどんどんいい状態になっていくと思うんですね。

「そういうことを実現したい」という話をしているんです。そのためにはやっぱり、ちょっと嫌だけど、労務管理とか、そういうことはきっちりやっていかなきゃいけないし、人とのコミュニケーションみたいな、店長として重要なスキルだと自分が思っていることも、もっともっと店長に教えて考えてもらわなきゃいけない。そういうこともすごく思うので、自分が部下として任されている店長たちと自分がどう関わるかがすごく重要だな、というのをここ何年かよく考えます。人事のK君とよく喋るようになってからそうなんですけど、そういうことを考えるようになったんです。

――事前に御社の人事のKさんに教えていただいたんですけど、今の学生にどこかの会社が調査をしたら、飲食業を目指す学生というのが全然いなかったらしいんです。「飲食業界ってものに興味がある子がすごく少ないんです」っておっしゃったんですね。でも、今、多田さんがおっしゃったように、かつての私も含めて、多くの学生が飲食業っていう業界に一度はきっと携わっているはずじゃないですか。

そうなんですよ!

――でも、例えばなんですが、「店長って休みがなさそう」とか、先ほどおっしゃった労務管理の部分で、「この業界ってやっぱりブラックだわ」とか思っちゃった時点で、「じゃあちゃんとしてそうな業界」っていう意味で、未知で知らない業界に切り替えようって言って逃げちゃってる人が多い気がするんですよね。変に、アルバイトで見てしまったがゆえに。「飲食業界はダメだわ」みたいな。

そうなんです。隣の芝生は青く見える、ってやつですよ。だからこそ店長が休まなきゃいけないし、「店長って、こんな人間味がある人なんだ」っていうことを感じてもらいたいんです、アルバイトで働いてくれる学生さんには。

■奥さんは元同期。でも家では仕事の話は敢えてしない

――これはちょっと答えにくいかもしれないので後で消したら消しますけど、さきほどご自身で「人見知り」っておっしゃっていましたけど、今の奥様との出会いは何だったんですか?

もともとは、会社の同期です。同じ業界の人間なんです。

――じゃあ社会人1年目から奥さんのことは知っていた?

ああ、知ってました。はい。

――結婚されたのっていつですか?

2002年。3年目の時ですねだ。99年入社なので自分は。

――人見知りでも、そこは共通の仕事のお話もあるし、大丈夫だった?

恋愛と人見知りはまた別じゃないですか(笑)。

――私、そこがわからなくて。私自身は、人見知り一切しないんですよ。なので恋愛もたぶんフィーリングというか。この人ともっと話したいなあとか。

でもいきなり出会って「結婚したい」っていうのはないじゃないですか。とっかかりは人見知りで入っても、ああこの子楽しいなとか、話合うなってなってくると、そこから話は深まっていったりとかするんで、それはまた違うのかなと。一切しゃべれないわけじゃないので(笑)。

――そうか、別に対人恐怖症ではないですもんね。

そうです、そうです。

――今、お仕事を辞めて、奥様は、いわゆる「家に入って」という状態ですけど、やっぱり同期・同僚だったからこそ仕事に対する理解や励ましがあったりするんですか?

逆ですね。仕事において、やっちゃいけないというか、「それっておかしいよね」ということを知ってるので、そういう状態に俺がなってるなと思ったら、「それっておかしくない?」って平気で言ってきます。

――言ってくるというのは、言ってくれる?

はい。言ってくれます。2パターンあると思うんですよ。知ってるからこそ「大変だけど、フォローするね、頑張ってね」って後押ししてくれるパターンがひとつのパターン。「それっておかしいじゃん。そんなの会社がおかしいでしょ? 私、文句言ってやろうか!」みたいなのが、もうひとつのパターン。うちの奥さんは、後者パターン(笑)

――仕事の話、結構家でもします?

いや、しないですね。敢えてはしないです。

――したらいろいろ突っ込まれる?(笑)。

突っ込まれるっていうのと、「あんた何してんの!」っていうのもあって、敢えて話はしないですね。別のそんなの聞きたくもないでしょうし。

――そうですね。聞きたくなかったというのもあるだろうし。

そうなんです。

■好きな言葉は「今を生きる」

――最後の質問なんですけど、プライベートも含めたら、どんな人生にこれからしていきたいですか?

変な話、「もう死ぬよ」ってなった時に、「まあまあそれなりに楽しかったな」って思えればいいかなっていう。好きな言葉で「今を生きる」っていう言葉があって。今を後悔なく生きることってやっぱり難しくて、そもそも無理で。

1秒でも2秒でも未来に行った時には、「ああしとけばよかった、こうしとけばよかった」っていうのがあるじゃないですか。絶対過去に対してはあると思うんです。だけど、全部ひっくるめて、「まあそれなりに自分として思った人生が歩めたな」みたいなことを、死ぬタイミングなのか、会社から社会人じゃなくなるタイミングなのかわかんないですけど、その時に思えたらいいなって。たぶん要所要所あると思うんです、そういうタイミングって。だからその時に、後悔がなければいいなって。

――気風がいい(笑)。

そういう風に思えていたいな、っていうだけなんですけど。深い話じゃなくて、なんか、「ああ楽しかったな」って思えたらいいですよね。

だから、「どうなっていたい」とか、「社長になっていたい」とか、そんなことは結構どうでもよくて、たとえ社長になれたとしても不幸だったら意味がないし。うちのチビもこれから大きくなりなりますよね。大きくなって、「昔はムカつくこともあったけどさあ」みたいなことを言ってくれるような家庭を築いていけて、そういう人生を一緒に歩んでいけたらいいのかなあみたいな。いつの日か、チビが「ああ、あんたの息子でよかったよ」ってなってくれたらいいかなぁって。意外と、シンプルに、それだけですね。

――やっぱり私、多田さんって、熱いと思います。

そうなんですかね? どうですかね? 無責任な人間ですよ(笑)。

――わかりやすい熱さかどうかわからないですけど、やっぱり私、インタビューというか、一緒に語らせていただいて、「ああ、熱い方だな。素敵だな」って思いました。

ありがとうございます。なんか嬉しいです。

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