何がブラック企業なのか? ―様々な切り口で会社や仕事を見てみることの大切さ(5)

■世の中の情報をそのまま鵜呑みにしないこと

「あの会社は定時で帰れないんだって」
「残業なし、がやっぱりいいよな」
「ブラックな会社は、やっぱり嫌だよなぁ」

そんな話を学校の同期と電話で話しているのを聞いていたのか、
電話を切った後に、父親が話しかけてきました。

「会社がブラックかどうかなんて、誰が決めるんだ?」と。

父親の説明はこうでした。

学生の内は、インターネットとか噂話とかゴシップ誌とかしか、情報源がない。
だから、どうしても、「あの会社は危ない」とか「あの会社はブラックだ」とか、
そういったネガティブな情報だけで、つい会社の評価を決めつけてしまいがちになる。

でも、それは本当に、会社を選ぶ際の判断基準にしてもよい軸なのか。

例えば、「A社は3年以内に3割の新卒が辞めてしまう」というデータがあった時、
「3割も辞めてしまうんだ」と恐れるか、「7割は勤務を続けるんだ」と感心するか。
「自分も3割に入るだろう」と思うのか、「自分は7割の残るタイプだろう」と思うのか。

それは実際に自分の価値観と、リアルな働き方や社員の雰囲気を照らし合わせてみないと、
分からないんじゃないか。

「確かに、なんとなくのデータや話で、評価を決めつけているかもしれない」
素直に頷く私に、父親はほろ酔い気分で語り続けます。

長時間労働という言葉を聞くと、皆、すぐに「ブラックだ」と言うのは、ちょっと違うと思う。
夢中になって研究を重ねていたり、仲間と熱中して夜通しレポートを仕上げていたり、
「お客さんに喜んでもらいたい」という強い思いとこだわりから残業が続いたり。
そうやって夢中になっている社員は、「自分はブラック会社で働いている」と思うだろうか。

もちろん、睡眠時間が取れなかったり、食事する余裕もなく働いていたりするのは良くない。
給与が支払われなかったり、人格を否定されるような指導を受けたりするのも良くない。
きちんと健康と安全と安心がある環境で働けていることが前提にはなる。

でも、仕事をしていたら、夢中になって、「働きすぎ」という状態になることは、現実的にある。
その時に、「楽しい」と思える仕事に就いているのか、
「辛い」「働かされすぎだ」と思う働き方をしているのか。
それは、実は会社がブラックかどうかではなくて、本人の選択次第でもあるんじゃないか。

父親の話は止まりません。

■自分の価値観と照らし合わせる

インターネットに、「自分のいた会社はブラックでした」と書き込む人は、辞めた人であって、
もしかしたら、会社に残って働き続けている人たちは「やりがいがある」と頑張っているかもしれない。
偏った意見に耳を傾けすぎて、自分の価値観を無視して就職するのは違うと思う。

大事なことは、ちゃんと自分で説明会に行ったり、先輩社員の声を聞いたり、
不安なことがあったら質問して、人事の担当者に説明してもらったりして、
「自分の価値観に合っている」と自信をもって思える会社に出会うことじゃないか。

父親は眠くなったのか、「ほどほどにして、早く寝ろよ」と言って、寝室に向かいました。

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